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傘と冬を越える木
閉じたままでは、
間違いな気がして。
広がってみたんだけれど。
ある乾いた晴れの日。
強く吹いた風に。
ずうっと遠くまで、
飛ばされてしまったんだ。
持って行かないでよ。
日を浴びてみようと、
開いたんだよ。
攫って行かないでよ。
差し出したわけじゃ、
ないんだよ。
もとに戻って。
こつこつ。
道を鳴らして。
降ってくる、
親しいものたちを。
待っていたらいいんだね。
抱えるためのかたちで、
冬を越えたなら。
めいっぱい。
広がる木、みたいにね。
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