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遠くの明かり
山なみの、
両腕のなかにある、
街は。
薄らぐ、
白い層を被る。
明かりは、
柔らかく包まれて。
いさり火のように、
浮かんでいる。
軽やかに弾ける、
船の進む音が。
ずっと遠く。
どこか深くから。
聞こえてくる。
白く、
光り始めて。
やがて。
金色に輝く、
岬の灯台や。
その足元に。
触れたそうに、打ち寄せる、
波の飛沫も、見えてくる。
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