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じゃんぷ傘
ひとり。
残された。
見知らぬ国の、雑踏からも。
風は高く。
笛を吹く。
向かい合う、ビルの間に。
目いっぱい。
軌道を描く。
そこだけじゃあ、ない。
見ていなよ。
割れない複眼の、反射を浴びながら。
たちまち、
上昇する。
乱立する群れを、突き抜けて。
大きく、
ジャンプする。
ばつん!
と。
弾ける音を立て。
風は、広がる。
細い雲に変われば、速やかに。
いろんな方向へと、矢印を。
伸ばしていく。
見ていたかい?
傘が、
くるりと、
回るみたいに。
きみは、帰れる。
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