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青い庭
左右に開かれている、
チョコレートのような形の扉。
橙色のライトが明るい、
暖かな部屋には、赤い絨毯。
何も置かれていない、
長いテーブルのそばを通る。
温もりのある木の厚み、黒い艶。
揃いの椅子には、
青や緑の刺繍を施した、
金色のクッション。
古く重厚なものは好きだけれど。
真っ直ぐ、歩く。
部屋の奥は、
一面のガラス。
夜が来るのか、明けるのか。
外は青い。
あまり高さのない木々が、
重なる葉を茂らせている。
この庭に背を向けて。
勧められた椅子に座るより。
向こうに行ってみたい。
ガラスには。
自分の姿も、何も。
映り込んでいない。
息で曇りもしない。
ガラスは、自分は。
本当に。
あるのか。
手を伸ばしかける。
部屋の隅で。
緑がかった金色のドレスを着た、
しかめ面の人に。
小言を言われている人々がある。
やっぱり。
座らなければ、
ならないか。
だけど。
長いテーブルの、
空席を眺めると。
憂うつになる。
時間稼ぎのように、丁寧に。
クッションを整える。
どちらへ、逃げ出す。
逃げるなら。
誰も座っていない、今。
開け放たれた扉か。
青い庭か。
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