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眠れる道のカーブミラー
カーブミラーさえ、
目を閉じて。
なんにも、
映さない。
遅い朝の闇。
ライトに浮かぶ、
真っ白な道。
両端に層を成す、
除けられた雪の厚み。
砕ける音を立てながら行く。
速度を落として、すれ違う。
お互い無事に。
着けばいい。
息は鮮明、空気は清浄。
冷たいかたちのまま、入って来て。
体温を含んで、戻って行く。
車は霜に包まれて。
足元のコンクリートには、
透明な氷が張っている。
点々と載せられているのは、
星のような結晶。
白い山並みに模様を描く木々は。
風の跡のままに雪を背負う。
人工物はなだらかに隠されて、
昔々の川岸に戻る。
氷点下を抜け出す頃に、ようやく。
きみらの声を、遠く聞く。
柔らかに霞む日が、明るさを増せば。
円やかな、温かなものに変わる、
膨らむように積もる雪。
カーブミラーが。
曇りガラスみたいになる。
373 m(_ _)m 39




