プロローグ:魂の刻印(ソウルシグル)
冷たい雨が、灰色の街を静かに濡らしていた。
夜の帳が降りるその瞬間、街角の郵便受けにひとつの《黒い封筒》が滑り込む。
誰も気づかない。
だが、その封筒は――選ばれた者の魂を奪い、死を賭けた死闘へと誘う、冥契の刻印そのものだった。
高校生の緋月ユウトは、薄暗い帰り道に足を止めた。
目の前に落ちていたそれを、無意識に拾い上げる。
「黒封筒……?」
指先に感じたのは、まるで脈打つような熱を帯びた冷たさ。
開けるべきか、閉じるべきか、彼の胸は高鳴った。
だが、封筒を開いた瞬間、世界は崩れ始める。
見知らぬ空間。
無数の円環が渦巻き、刻印と契約の紋章が空を舞う。
声なき声が囁く。
「刻印冥契†エグザリア・コード──魂を刻み、契約せよ。死を賭けし者よ、ここに集え。」
そこは、生と死を賭けた死のデュエルフィールド。
ユウトは知らぬ間に、魂の一部を刻印され、運命のゲームに巻き込まれていた。
「負ければ死ぬ……いや、死ぬどころか、存在すら消える」
重く冷たい言葉が、彼の胸に刻まれた。
この世界の理は非情だ。
しかし、その先に待つのは、真実か、救済か、それとも絶望か。
ユウトの魂の刻印は、今、静かに燃え始めた──。