お茶会(5)
「なによ?苦い顔して‥」
シオンはすごい苦虫を噛み潰したような顔をしてこちらを見る。
「いや、いくら言いにくいからって愛称はちょっと気安すぎない?」
まぁ、それはそうだ。
私だってそれだけで愛称なんて呼ばせない。
「だって慣れといた方がいいでしょう?
これはあなた達に貸しをつくるのにもってこいだもの。」
「貸し‥?」
本当にわからないみたいだ。
「あら?
貴方、自分のお母様にどんな勘違いをされてきたのかお忘れ?」
「げっ!!
思い出したくなかったぁ!
ていうか、それがなんで僕だけじゃなく、僕達の貸しになるわけ?」
もう、さっきのよそいきの態度とはどこへやら‥
机に両肘をついて手の上に顔を乗せて、拗ねたような表情をしている。
「ほら、まず私に近づいた理由を考えなさいよ。
私を王子の婚約者にして、うちの家を後ろ盾にして地位を磐石にしようって算段でしょ。
でも私そんなのいやよ。
つまんないし、貴方のお友達には言ったけど恋愛結婚希望なの。
うちは別に権力もいらないし。」
「ほんとに珍しい家だよね〜
さすが筆頭公爵家、考えることが違う。」
「まぁ、相手もそれなりの身分じゃないと無理だけどね。
まぁ、その話は置いといて。
結局のところ私の家も味方にして安心したいんでしょ。
でも、婚約者は無理。
できるだけ立場的にも個人的にも波風たてずに中立でいたいしね。
だから、私とあなたが仲良くしてる風にするの。
この後、あなたが私を愛称で呼んでたら貴方のお母様はどう思う?」
「なるほどね‥
うちの母様ならすぐ周りに広めるだろうね。
婚約者になるよりは劣るけど、第一王子の側近の僕と少なからず親しい仲ならまぁ一先ず敵にまわることはないし、周りには第一王子側だと錯覚するやつも出てくるってことか。
でもいいの?そんな噂広められてさ。
うちの母様結構策士で外堀埋めていくタイプだよ?
」
「まぁ、そこは大丈夫。
1,2年したらしばらく社交界には出ないしね。
」
「はぁ!?」
シオンが驚いたのか肘から崩れ落ちていた。
まぁ、公爵令嬢が社交界には出ないっておかしな話、驚くか。
「驚きすぎね。
まぁ、必要最低限はやるつもりだけど私田舎暮らしの方が好きだし。
しばらく姿消したら噂なんて消えるわよ。
その前にあなたがお相手見つければ済む話だし。」
「はぁ、無茶言うよ。
同世代の身分が同じなのが君だけなんてほんとついてない。ディモルたちの次に関わるじゃないか。」
どう言う意味かしら?
ほんとに嫌になる。
「そう言うことで私の家の名前使えるんだから貸しよ。
お父様もそういうことなら納得してくれるわ」
「無茶苦茶だ〜
この国の未来が心配だよ
ディモルと母様それぞれになんで言おうか‥」
「まぁ、頑張りなさい」
遠い目をするシオンに肩に手をのせ労いの言葉をかけた。
その後、気安く呼び合う私たちを見て両母が興奮したのは言うまでもない。
この後の質問攻めの未来をあんじて、二人してちょっと同情し合った。




