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閑話その3 藤の間

しばらく後  藤の間



「お待たせしました」

「子供達はどうだ?」

「泣き疲れて眠りました。夫も来てくれたので任せてあります」

「そうかい……」


「あれだけの騒ぎだ、皆にも説明が必要だろうね」


「……仮眠室に行くとだね、円の娘、桜花が件の縁を抱いてスヤスヤと眠っていたよ」

「そこでそいつが縁を抱え上げようとしたが」

「……」

「桜花が守るように強く抱き抱えててね。叶わなかった」

「そうこうしてる間に桜花が目を覚ましてね。当主や円が話しかけてるのに、馬鹿が睨みつけて脅すわ無理やり取り上げようとするわ」

「お、お待ちください私は……」

「違うってのかい?」(ギロッ)

「っ!!」

「そうしたら驚いた事に桜花が、齢二歳の子供がだよ?曽名井の結界を張って自分と縁を護ったんだ」

「そこからは見た者もいるだろう。その馬鹿が結界を破れずにいたってわけだ」


「これが仮眠室であった事の全てだよ」


「はぁ、さてどうしたもんか……。ん、有花理なんだか嬉しそうだな?」

「これは失礼を。我が子は、縁はこれほどに人に好かれる子だったのだと思いまして」

「ああ、そうだね。それに桜花も良い娘だ」

「ありがとうございます。それよりも皆様にお願いがございます」

「いきなりどうした?円」

「つい先程決まった事に対しこのような事を言うのは恥知らずとわかっておりますが。我が娘桜花は結界への才を持つようです。その才を大櫻の維持に注ぐよう教え、育てますので先程の決議にご再考をお願い致します」


「ザワザワ」「ザワザワ」


「待ちなさい円!桜花ちゃんにそんな負担をかけさせる訳にはいきません!!」

「いいえ、これで縁ちゃんを守れるなら桜花もわかってくれるわ」

「円……」

「決まった事に何を言うか!それに育つまでに何かあったらどうするんだい?」

「アンタねぇ……ご高説はごもっとも。だが今のアンタの言葉を誰が聞くっていうんだい?黙ってた方が目はあるんじゃないのかい?」

「お待ちを。その意見自体は一理あります」


「要は桜花ちゃんが育つ時間が有れば良いのでしょう?ならばそれは私が作りましょう」

「姉さん?何を……言って?」

「曽名井の歴史上何度か結界が崩壊しかけた事があります。その時に使われた結界強化の術を施しましょう」

「待って!それは存在の力を捧げる術、人柱よ!そんな事‼️」

「良いのです桜花ちゃんの自由を奪う円の提案です。私もこれぐらいしないと格好が有りません」 「そして円、今この時より曽名井の当主は任せます」

「姉さん……当主の座、一時代行させて頂きます」

「皆様、この一件何かあれば我が家が全ての責任を持ちます。ですのでどうかご再考を」

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