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気付くと見知らぬ天井を見上げていた
「ここは……?」
「弟くん!気が付いた?」
「姉さん?」
「良かった~。 でも何であんなところに居たの?」
「あんなところ?」
「大櫻。木の下で倒れてて一歩間違えたら凍死してたかもしれなかったんだよ?」
「ああ、そっか」
「それで?何で大櫻に居たの?」
「呼ばれた気がしたんだ」
「!?」
「それで大櫻にたどり着いてた」
「そう言えば、最後に女の子が『帰って』って言ってたような」
(俯いて小さく)「……結衣ちゃん」
「姉さん?」
顔を上げた姉さんの
「弟くん」
その声はいつもより硬質で
「もう、大櫻には行かないで」
「ねえ、さん……?」
「約束して。大櫻には行かないって」
有無を言わせぬ迫力があった
「……わかった」
「約束だよ」
その目はどこか淋しそうだった