第7話 イスラエルってどこ?
7月9日
「ネザ、ちょっといいかな。ねぇ、人には前世とかってあるの? 昨日の話だとそう思えるんだけど」
とネザに聞いた。
「そうですね。あなたは、気の向くままに作詞作曲をするでしょう」
「うん。昔っからね」
「初めての作曲は、あなたが子供の頃、突然作曲ができるようになった。曲が浮かんできた。そう思ってるでしょう」
「そのとおり、よく知ってるね。少学校3年生の時、学校からの帰り道、気がついたら自分で作った曲を歌っていた。『嵐の、ん・ん・ん』という曲だ」
「曲のタイトルはメチャダサイですが、それはあなたの前世の記憶。前世で聞き覚えた曲が浮かんできたのであって、あなたが作曲したのではないよ」
「メチャダサイとかいうな! でもそうなのか? うーん、そういわれても実感ないなぁ」
「いずれわかるときが来ると思います。それより醬油皿の水を新しくしてくれないかな」
「ほう、古い水はダメか。水が弱点か。フムフム」
「あなたは心の中で、なにか悪だくみをしているようですが、近いうちに水のありがたさがわかる時がくるよ。水には感謝だよ」
「はい、はい、では会社行ってきまーす」
会社につくと、みんなが騒いでいる。どうしたのか聞くと。こんどデカイ取引があって海外の会社と事業提携があるらしい。何億というお金が動くプロジェクトらしい。とりあえず視察ということで、おれが先方に行くと決まったらしい。
「ふっ、この会社もおれのエンジニアとしての力量がようやくわかってきたようだな」
同僚A「やったじゃーん。おみやげよろしく」
同僚B「ヒマなやつが選ばれたらしいが、失敗すんなよ」
「ヒマちゃうわ! この海水淡水化プロジェクトはな、流体力学研究から生まれた新素材を要所に用いて、損失係数を半減し、効率を高めた画期的な技術なんだ」
おれを含め数人で開発したこの新素材。従来の方法をベースにしているので、既存の設備にも応用が可能だ。その汎用性に注目したのが、すでに海水淡水化の設備を運用しているイスラエルの企業。
イスラエルってどこだ。一般人が行っていいところなのか。まぁ、水が不足している地域なんだろう。
しかし、しかしである。おれは宣言した。
「おれはシャワートイレがあるところにしか行きたくない」
同僚A「はぁ、なに言ってんの? ならおれが行くぞ」
「いいんじゃない。行けば」
そんな会話をして、帰宅した。
「ネザ、海外出張になりそうだったけど、おれ海外苦手だし、元々出不精だから断わっちゃったよ」
うちに帰るなりネザに報告した。ネザは特に反応は示さなかったが、なにかじっと集中しているような気配だった。そして、その夜、不思議な夢をみた。