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『バラの精霊、ネザ』 ~バラの精が教えてくれた美しい生き方~  作者: あばらぼう
第3章 砂漠のアルター
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第11話 約束の人

 そのとたんにウヤータが、

「ああっ、それ、そのアザは何なの!」

 と大きな声を出した。動かない左足をその場に残し、腰と右足をくねらせて、ウヤータはおれのほうに体を向けた。ウヤータの急な反応に、おれはしどろもどろになりながら言った。

「エッ、これ、これは生まれつきのアザらしい」

 おれの右手の手のひらの真ん中に、まるでトゲが刺さったような細長い三角形のアザがある。

 ウヤータは目を大きく見開いて、おれの右手に注目していたが、ついに自分の両手を伸ばして、おれのアザを触ろうとした。だが左足が思うように動かない。バランスを崩して、おれにもたれかかるようにして倒れ、ちょうど抱きついた形になってしまった。おれもウヤータを支えようと手を伸ばして、その体を抱きとめた。

「ウヤータ、大丈夫かい」

 ウヤータは、そのままの姿勢でいた。おれは、少しずつ思い出していた。宇宙に浮かぶ船の中で、ウヤータと同じ声の少女との会話を。

 おれはウヤータに言った。

「ウヤータ、君の本当の名前は、ヤタ。宇宙では名前は必要ないけれど、この地球という星では、人間は共通の意識を持つことを知らないし、すべてを共有できるということも知らない。だから、個人を識別する名前を持つと言っていた。その名前こそ、ヤタ」

 ウヤータはおれに抱きついたままでいた。そして、

「そう、わたしの名前はヤタ」

 ヤタはそう言うと、おれから手を離して、首にさげた小袋から、あの黒っぽい石を取り出して、おれの右手のアザに重ね合わせた。それはぴったり同じ大きさだった。

 ヤタは言う。

「これは石ではないの。木の精、木の涙、それが固まったもの。必ず世の中の役に立って、自由な意思を持てるまでに魂を進化させて、再びあなたと一緒に宇宙に帰る。木として生きた時の決意を忘れないように、そう願って転生した証。今、ハッキリと思い出したわ」

 アルターが心の声で話しかけてきた。


 〝本当の愛、すべてをゆるせる愛、その愛はすべてを知る。その愛は誰だって本当はもっている。忘れてしまっているだけなんだ。その愛を再び輝かせることができる技法を、なんとしてでも発見して、宇宙に帰ろう。そして宇宙に広めよう。

 ぼくの父が言うには、地球人は、宇宙で一番複雑な精神と心を持つらしい。その地球人にしかできない精神を高める技法があるはずなんだ〟


 心の声を発したアルターことシッダー・アルター王子は、上半身が透き通るような青さで輝いて見えた。おれとヤタは、王子の神々しさに胸を打たれ、この人なら必ず目的を果たされるだろうと思った。

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