21/42
第1話 丘の上の再会
ネザは語る。
「わたしは昔、砂漠という過酷な環境で生きることになった時、そう、丘の上の木だったころ、あなたは全財産を感謝とともに捧げてくれたね。あれは、あなたと別れてから長い長い年月が過ぎ去って、欲望のままに生きた末の、やっと果たせた再会だった。
わたしはあなたに伝えなければならないことがあった。わたしは木としての寿命を縮めてでも、力を振り絞って精霊となり、あなたと過ごした宇宙時代の姿になった。けれど、微弱なエネルギーしか放つことができない植物では伝えられることに限りがあった。
あなたとの約束「人のために生きる」このメッセージを歌って伝えるのがやっとだった」
「人のために生きる」
おれはその言葉を聞いた瞬間、頭の中で一つの記憶が動き出した。
この記憶は、なんだろう。自分でも信じがたいが、遠い遠い昔、どうやら宇宙船の中にいるようだ。二人乗りの小さな宇宙船。その中でネザと同じ声をした少女が、隣りに座るおれに話しかけてくる。