第11話 ネザと神社へ
9月15日
午前7時、今日は仕事は休み。ネザを神社に連れて行くと決めていたので、朝から車を走らせる。目的の神社はまだ決めていない。ネザが途中で「ここ!」といったら、その神社に寄るというりっぱな計画だ。
千葉県方面にするかな。森に囲まれた大きな神社がありそうだ。とはいうものの、一応房総半島の館山にある安房神社をゴールに設定した。太平洋に突き出た半島の最南端だし、そこまで行ったら戻るしかない。
助手席の前にあるカップホルダーにガラスコップをセットし、水を挿してネザを浮かべた。ネザはなにも言わないが、ネザの葉の上の丸い水玉に朝日が反射して、キラッと光った。
房総半島は思ったよりも広い、2時間あまり車を走らせ市原市にかかる。信号待ちをしていると、道ばたに「食べられる家」と書かれた看板を見つけた。興味をひかれたので寄ってみることに。
着いたのは住宅展示場といった感じの場所だった。まだ開店前らしく誰もいない。車を降りて散策するとパンフレットが置いてある。食べても安全な素材だけでできた家かぁ。なんだか童話にでてきそうな家だな。先日のネザの言葉、「違う世界へのログイン」というキーワードが思い浮かんだ。
そこに車が一台やってきた。ここの会社の人らしい。おれを見て軽く挨拶し、「中、見学されます?」というので、三つある家の一つに案内してもらった。