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第5話 娼館へ行く

翌日の夕方、私は無理矢理馬車に乗せられて、メアリが必死になって止める声を聴きながら、どこかに連れていかれた。


家の者ではない御者がニヤニヤしながら馬車から降ろしてくれた。


「お盛んですねえ」


そんなことを言われても、何と答えたらいいのか。



結構大きくて豪華な、どこかの金回りのいい商人か、小貴族でも住んでいそうな一軒家だった。

少し奥まったところに建っていて、馬車の出入りも目立たない。


私はもうドキドキしていた。


どうしてこんなことになったのか。


うやうやしい態度で、一人の男がすぐに迎えに出てきた。


私は呆然として、その男を見つめた。


「これは奥様、初めてのご利用で」


「そんなことはありません。これまで、もっと下品な娼館をさんざん使ってきたのよ。それで、ご主人がせめて目立たない娼館で遊ぶようにとここを紹介してきたの」


後ろから甲高い声でカザリンが言った。


「おや、奥様もご利用ですか?」


物柔らかで、揉み手でもしかねない感じの男はカザリンに向かって尋ねた。


「えっ? でも、あの、高いんでしょう?」


男はうなずいた。


「それはもういい男をそろえていますから。楽しいですよ。話の得意な気持ちのいい男、立派な筋肉の男、すばらしいイケメン……」


「イケメン……」


カザリンがこんな顔をするだなんて知らなかった。


「奥様の料金につけてしまえばいいではありませんか。バレっこありませんよ。気の利いた奥様は、侍女にも気持ちよく遊ばせてくれるものです」


何か言いたかったが、どう反論したらいいか分からなくて、黙っているしかなかった。


カザリンは身をくねらせた。


「顔を見せてもらえるの?」


「もちろんですよ」


合図をすると、もう一人の男が……こっちは老年の、痩せた、元はきっと男前だったに違いない目つきの悪い男が寄って来て、カザリンを連れて行ってしまった。


「どんな男がお好みですかね?」


私は叫び出しそうになった。


旦那様との最初の晩を思い出したのだ。なぜ、お金を払って、あんな思いをしなくちゃいけないのか。


「帰らせてください」


私は必死になって言った。


「まあまあ。気が変わりますよ。話をよく聞いてくれる男もいます。あなたはここに七日七晩居続けることになっています。それだけの料金をいただいているんで、ここにいてもらわなくちゃいけません。歓待しますよ」



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