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お前を愛することはないと、だんなさまに宣言されました。その後、イケメン隣国の王子が物欲しそうに付きまとって来るんですけど?!  作者: buchi


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第19話 スノードン侯爵と再会

会も半ばになって、ようやくスノードン侯爵が現れた。


とても興奮しているようだ。カンカンに怒っている。


私を見つけるのに苦労したらしい。


私は今日は地味な薄い青のドレスだった。紺色のリボンが飾りについているだけだ。髪の飾りも白の花だけ。宝飾品はないとおかしいので、姉の真珠を借りた。全然派手ではなく、目立たない。


「見る人が見ればわかる。すてきなデザインだ」


リオンがドレスを見つめてにっこりした。


「生地に葉っぱの地模様が入っている。リボンは上等の厚絹だ。光沢が違う。君にぴったりだ」


だが、多分、スノードン侯爵にはわからないと思う。


「なんだ、その格好は。全然わからなかった」


だけど、ちょっと雰囲気が違うと考えたらしい。もう一度、私を見直した。


「さあ、家へ帰るんだ」


「帰りません」


回り中が押し黙った。


半円形になって私たちを見つめている。


「娼館には行きたくないです」


「わずか半日で逃げ出しやがって。なんて口の利き方だ。両親に文句を言ってやる」


「娼館には行きません」


「逆らうのか、このバカ女」


「まあ、スノードン侯爵。穏やかではありませんことね」


先ほどのダチョウの羽根の髪飾りの婦人がズイと前に出てきた。


「余計なお世話かも知れませんけれど、奥方を娼館に売り飛ばすとは、ずいぶんお金にお困りなんですのね?」


スノードン侯爵は、ダチョウの羽根の婦人をにらみつけたが、彼女が内務大臣の妻であることに気がついた。


「お金に困っているわけではありませんよ」


彼は不愛想な口ぶりで否定した。


「困っていらっしゃらないの? それなら、娼館に連れて行かなくてもいいんじゃございません?」


「困っているのはお金じゃなくて、この女の素行ですよ。男を買いに行くんです。変な店に行かれては困るので、まともな店に行かせようと」


「では、離婚なさればいいではございませんか」


「え?」


「一度でも買いに行ったことがわかっているなら、それだけで十分。立派な離婚の理由になりますわ」


「それとも、離婚なさりたくないんですの?」


孔雀の羽根のご婦人が口を挟んだ。


「いや。離婚目的で、証拠を上げようと……」


「証拠って、他の店に入った証拠があるんでございましょ?」


ダチョウ婦人が詰め寄った。


「はい。目撃者が」


「では、十分ではありませんか。それに別居は更に離婚に好都合ですわよ」


「でも、家に戻らせないと、ロクでもないことを……」


ホホホとご婦人方が声を上げた。


「離婚してしまえば関係はございませんことよ? あなたに何の責任もございませんわ」


ありがとう、皆様。ほとんど初対面なのに。


「でも、今日の格好は清楚なので、連れて帰ってもいいかなと。トマシンも家に帰りたいでしょうから。両親もしっかり躾け直したいと言っておりますし」


「娼館から逃げ出さないように?」


孔雀夫人が嫌味を飛ばしたが、侯爵にはあまり通じなかったみたい。


「え? それより、トマシンはきっと私を恋しく思っているでしょうし、哀れかなと」


スノードン侯爵、ご婦人方の目があやしい光を宿し始めたわ。


「いつでも帰れたんじゃないのかしら。でも、帰らなかったのよね」


「きっと、家にいれてもらえないとでも、思っていたんでしょうよ。まだ、子どもですからね。私は寛大な男なので。ははは」


「子どもが娼館に行くわけがないとはお考えになりませんか?」


「でもね、目撃者がいたんですよ。その人が、もっとましな娼館に行かせた方がいいって助言してくれたのでね」


なにやらご婦人方のご機嫌が怪しいことに、ようやく気づいたらしい侯爵が、言い訳を始めた。


「まあ、どなたですの?」


「ええと、ルシンダと言う女性ですがね。まあ、皆様、ご存じないでしょう。品のいい気の利いた女性なんです。いずれそのうち皆様にもご紹介したいと……」


「ルシンダさんとおっしゃるのね」


ダチョウ夫人が意味ありげに名前を繰り返したが、後ろからよく響く声で誰かが言った。


「先日、下町で無許可で娼館を運営していた罪で捕まったルシンダですかな? 知り合いとして、スノードン侯爵の名前を上げていましたが。右目の下に泣きボクロが二つあるブロンドの女ですよ」


へえ。ルシンダさん、そんな顔なの。ブロンドだったのね。でも、捕まっちゃったのか。



……? えっ? 捕まったって?


「え……」



「つ、捕まった?」



その場にいた全員が、スノードン侯爵の顔を見た。


侯爵は、誰が言ったのかわからないその言葉に呆然として立ち尽くしていた。


その顔は、信じられないと言う顔つきだったが、だんだんと妙な感じに表情が崩れていった。



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