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序章第2話 おっさんと動画鑑賞会

あの日魔王が攻めて来た。いわゆる始まりの町へだ。

勇者が育ちきる前に倒してしまおう。そんな賢い魔王も中にはいることだろう。

この魔王は違ったのだ。脳筋・・・もとい武闘派であったため弱い者には興味がなかった。

彼は困難を乗り越え強くなった勇者がやってくるのをいつまでも待った。

が、彼の期待は裏切られたのだ。勇者と魔法使いは魔王城まではたどり着いた。

が、引き返し家庭を築き子をなし、いつまで経っても彼の元にはやってこなかった。

自分が忘れられたような気がした魔王は激怒した。

そして勇者の子が6歳の誕生日を迎えた日のことだ。

「魔王だ!魔王が攻めて来たぞ!」

早朝の町がざわめき立つ。上空を黒い影が覆った。

その中で不適に笑う男が一人。

「へへっ・・・痺れを切らして出てきやがったか」

この世界アルカマリナで勇者と呼ばれた男、カシムである。

「大物がかかりましたねぇ」

その相棒であり魔法人妻レイアが続く。

「手はずどおり森の祠へ誘導だ!女子供は避難させろ!」

村の若い衆に指示を出す。一般人の戦闘力はたかが知れている。

無駄に刺激すれば町ごとお陀仏だ。

「何のつもりか知らんが追い詰めたぞ勇者どもよ!」

「よしここまででいい。皆は家に帰れ!戸締りを忘れるなよ!」

祠の前で対峙する魔王と勇者一行。戦いの火蓋が切って落とされようとしていた・・・。

「さあやろうではないか勇者よ!私を楽しませてみよ!」

叫び声だけで木々が揺れる。プレッシャーが押し寄せる。

「一人で来るとはさすが武闘派魔王様だぜ」

「側近はお前たちに倒されてしまったからな・・・野生の雑魚を何匹連れても話にならん」

「皆さん元気にしているかしら?加減はしたつもりですけど」

人妻は目を細めニヤリと笑みを浮かべた。

「裏切り者どもめどこぞへでも逃げ散りおって・・・まあよい、行くぞ勇者よ!」

飛びかかろうとする魔王に片手で静止する勇者。

「まあまあ待ちなって」

「話の腰を折るでないわ!何だ!」

トントン 剣で地面をつつく。

「追い詰められたのはあんたのほうなんだよなぁ」

「何ッ!?この魔方陣は・・・」

「大封印・・・私たちが何の準備もなしに遊んでいたと思いましたかぁ?」

魔方陣が光り出し、マナが凝縮される籠の形を取る。

「俺たちではあんたには逆立ちしても適わねェ。だから頭を使わせてもらったのさ」

「馬鹿な!こんな封印そう長くは持たんぞ!」

「そうよねぇ持って魔力を練った時間の5倍くらいかしらぁ」

範囲を狭めてさらに濃縮されるマナ。

「難点はこれやっちまうと俺たちも無事じゃすまねぇんだよな」

「ふざけるな!戦え勇者!逃げるな!」

「わりぃな息子よ後はお前に任せるわ。無責任な親父を許してくれ」

「ごめんねヒィロ君」

ガサッ 茂みから何かが顔を出す。子供だ。

「父さん母さん・・・?」

ヒィロ6歳。後の日下辺英雄その人である。

「お前ッなんでこんな所に!?」

「そんな・・・寝かしつけてきたはずなのに・・・」

「息子だと・・・?面白いこのまま封印されるのも癪だ。貴様らの大切なものをいただこうか!」

魔王の手に最後の魔力が凝縮され放たれる。

「塵になれ勇者の血筋よ!」

「や、やめろォ!!」

・・・

・・


「と言うお話なんですよ」

モニタのようなもので流された動画が途中で終了する。

よく作られた映画か何かだと思えばそれらしいものではあるが。

「ふむふむなるほどな。で、その後俺ァどうなったんだ?」

俺は4杯目に手を付けていた。

「寸でのところであなたは転移魔法により救い出され。そちらの世界に飛ばされました。記憶がなくなったのはその副作用・・・だそうです」

「都合のいい話だがその土壇場で誰が助けてくれたんだ?」

「それは・・・まだお話しすることは出来ません。神のお導きとだけ・・・」

「神様ねェ・・・まぁなんだっていいわ。俺の両親はその後どうなった?死んだのか?」

記憶がないので顔も声ももちろん思い出せやしない。動画の二人がそうなんだろうが・・・。

その上勇者と来たもんだ。現実味が沸かない。まだ狐につままれたような気分だ。

「カシム様とレイア様はその後魔王の封印に成功しました。自らも祠に封印されています」

「生きて・・・るのかそれは。生きてるなら一言言ってやらんとなァ」

「と、言いますと?」

ダァン!

4杯目を一気飲みし、音を立ててジョッキを置いた。

「なぁにがお前に任せるだ!無責任にも程があるだろうが!」

「ヒッ!?」

「こんなおっさんに魔王倒せとか正気か!こちとらただの一般人だぞ!」

「そ、その割にはいい体してますよね・・・?」

ワイシャツがきつそうなくらい筋肉質の体をしているのが目に付いた。

「あー、施設時代に体が弱くてな。鍛えるのが日課になってたんでな。特に格闘技とかやっていたわけじゃない」

「なるほど~。レベルアップのない世界ですからねぇ」

「レベルアップ?」

またゲームのような単語が出てきたぞ。

「はい。そちらの世界には個人に成長限界(リミット)があるんですよ。言うなればレベル1のまま才能値(ステータス)だけ上がる状態です」

「ほうほう」

もう何でもありだな。おとなしく話を聞こう。

「アルカマリナではレベルが1上がるごとに個人に定められた才能値(ステータス)がアップします」

「それじゃ何か?俺ァレベル1ってやつなのか?」

「はい。才能値(ステータス)だけアルカマリナの標準値を大きく超えたレベル1ですけどね」

「じゃあそのレベルアップとやらが出来れば魔王とも戦えるってのか?」

非現実的なことだ。あるわけがないそんな話。俺はまだ信じてはいなかった。

「まだ信じてないですねぇ?ではここで1レベル上げてみましょうか!」

ブヨ・・・ ブヨ・・・

目の前にゼリー状のぬめぬめ動く物体が現れる。

「何だこりゃ!?クラゲか!?」

「スライムですがご存知ありません?」

「ご存知ねェよ!何だこの気持ち悪ぃのは・・・」

「それをどんな手段を使っても構わないので倒してください」

「倒せってもなァ・・・」

にじり寄ってくるスライム。一見害はなさそうだが・・・。

ピュッ!

口なのかよく分からん部分から粘液が発射された。

「うおっ何しやがるこいつ!」

とっさにスーツの上着で防ぐ。スーツには大穴が開いていた。

何が害はないだこの危険物は何だ!?

「服だけ溶かすスライムなので人体には影響ありません~」

「んな都合のいいもんがあるか!酸か何かじゃねェか!」

幸い大きさはそれほどでもない。バスケットボール程度と言ったところか。

そして本体は中に見える核のようなものか?周りのゼリーはまやかしだ。

やってやる。黒い悪魔を踏み潰すかのようにな!

「オラァアア!!」

プチュン

それはあっさりと潰れて消えてしまった。

「なんだ弱ェじゃねェか驚かせやがって・・・」

「お疲れ様です。これでレベルが上がったと思うので確認を・・・キャッ!」

パァン!! ワイシャツが弾ける。何事だ・・・?

「お、おう・・・どこの伝承者だ俺ァ・・・」

筋肉が膨らみ力がみなぎってくる。そして何か頭がすっきりしたような気がした。

「STRとINTが上がりましたね!これがレベルアップです!」

「これがレベルアップか・・・」

百聞は一見にしかずとはよく言ったもの。これが夢でなければ今起こったことが現実だ。

認めざるを得ない。異世界はあったのだ・・・。

「ところで~大変申し訳ないんですけど~」

「何だ?」

「そちらの世界にお帰しできるのはレベル1の方に限るんですよね・・・」

女神はしまったというような顔を一瞬してから取り繕った。

「そういうことは早く言え。どうするんだ会社は!ローンは!」

「こ、こうなってしまっては仕方ありません。都合のいいように書き換えますので・・・」

何か恐ろしいことをさらっと言っているがつまりどういうことだ。

「あなたはいなかったという記憶を関係者には植え付けますので・・・」

「そんなことまで出来るのか恐ろしいな・・・」

内心ローンがなくなってラッキーと思ってしまった自分が嫌だ。

いなかったことってぇとつまり、俺ァ代わりの利く人間だったってことだ。

少し寂しい気もするが・・・。

「あー、それなら2つほど頼まれてくれ」

「はい?なんでしょう?」

「まずは事故はどうなっている?トラックと子供はあの後どうなった?」

止まった世界の中招待されたがその後結構な時間が経過している。あのままだと大惨事だ。

「それならご心配なく。なかったことにしましたので」

「助かる。(もう突っ込む気力もない)それとだな、戻れないなら金はもう使えないんだろ?全部匿名で世話んなった施設に送ってくれや」

それほど貯金があるわけではないが、もう俺には必要のない金だ。

俺と同じような境遇の子供たちのために使って欲しいもんだ。

「了解です。では転移の手続きになりますが~」

「まだ何かあるのか?」

「餞別といっては何ですがこちらから強力な装備や道具をお渡しできますよ」

女神は何もない空間から禍々しい武器やら防具やらを出して見せた。

「いわゆる最強武器ってやつですねぇ。これがあれば・・・」

「いらん」

「え?」

「いらんと言った」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ついに動き出した物語。本当に動き出したのか?

ようやく腰を上げたおっさんと次回もぐだぐだに付き合って貰う・・・。


書きたいものを書きたいときに書いています。

拙い文章ですが、よろしくお願いします。

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