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交差する異世界は転生が制す  作者: うぼンヌ
1/1

異世界転生は恐怖を兼ねて


▶転生する

▶転生しない


唐突だが、これを読んでいるお前らに問う。


『さて、お前ならどっちを選ぶ?』


大体の奴は異世界ってもんに憧れて、転生したいと言うだろう。

実際、俺もこうして転生を選んだ訳だが、俺は世界に飽きたとかそんなくだらない理由を持って事に望んだ訳じゃない。

もっと大きな、自分の命を守るためだ。

異世界はいくつかあるが、全異世界共通しているのは3種の術があるという事だ。

一般的に冒険職などが使う『魔術』

聖職者や神職者が使う『神術』

そして、現在では禁忌とされている『呪術』がある。

転生は特殊な魔法、『転生術』を駆使して出来る訳だが、この術こそが禁忌とされる『呪術』の1つである。

なんだかんだあって俺は異世界を転々とし、今の世界にたどり着いた訳だ。

まずは、俺が転生した、その経緯を見て欲しい。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


エクラタン魔術師育成学校


そこは、将来有望な魔術師をとことん育てよう!という方針の学校。大雑把な紹介だがそんな感じだ。

ちなみに俺は、ここで寮生活をしている。男女混合の寮ってのがこの学校の最も素晴らしい所だ。まあデメリットも無くはないが・・・

そんな寮から、俺は朝食もろくに食わずに出ていく。


そう、遅刻である。

大遅刻である。


昨晩、昨日発売された俺たちの娯楽最新版、『パチパチDX』に1人没頭してたのが悪かった。

机の上に2つの駒の様なものを起き、互いに撃ち合い、ぶつけ、リングから先に出た方の負けというシンプルなゲームである。

お前1人でやんの?だとか、よくよく考えたら駒2つだけの商品なのか?とか、そういった疑問を言ってくるやつがいたが、あういうのはダメだ。制作会社にも俺にも失礼すぎる。

ちなみに、俺はぼっちって訳じゃないからな?昨日1人でパチデラやってたのも、俺以外の奴はみんな用事があったとか言ってたからだ。

昨日は確か男子人気率の高い女子の誕生日だったっけ、多分それが原因だろう。

ぼっちじゃない言い分はまだある。学校に友達は沢山いるし、プロレスごっことかもしてる。高校生だけど。


俺は靴紐がほどけてるのも気にせず、教室に息を切らしながら滑り込む。


「おい、遅いぞランス!」

「すみません先生!次からは・・・」

「お前これで一体何回目だと思ってるんだ?成績いいくせして遅刻だけ多いんだから、お前が損するんだぞ?」

「はい・・・気をつけます」


おっと、紹介が遅れたな。俺の名はランスと言う。

そして・・・好きな人もいる。それもこのクラスだ。


「ランス君おはよう!今日も遅かったね!」


俺に話しかけてきたのは、エメラルドような深緑の髪に青く澄んだ瞳をした少女、そう、隣のの席のアリエルちゃんである。

この子が俺の好きな子だ。

もうテンションが弾けちゃう。

朝っぱらからこの笑顔で死んでしまいそうだ。ああ、天使・・・でもディスられたのにはツッコんでおこう。


「またとはなんだ?お前だって昨日遅刻したんだろ?」

「あれは先生が趣味でやってる大爆発実験の道具の準備を手伝ってたからだよ?」


クソ、これだから優秀な生徒は、全く不の打ちどころがないから可愛いんだよアリエルちゃん!

依存しすぎキモイとか言われても動じないからな?誰も知らないし表に出してねえから。


「どうしたの?ニヤけちゃって」


どうやら表に出てたらしい。


「あ、ああいや、昨日発売されたパチデラ思い出してさ!ほら、楽しくてつい盛り上がっちゃって、それ思い出したらテンション上がってさ」

「・・・確か昨日は1人でいたんだよね?」

「・・・そうだよ」

「へ、へえ・・・」


下手な嘘つくもんじゃないな。多分変な誤解産んでる。


「ランス、今日も遅かったな〜。

・・・ランス?おーい」

「・・・?

ああ、マルクか、おはよ」


どうやら俺がアリエルちゃんに嫌われてないか心配してた間に、声をかけられていたらしい。


「どうしたんだ?ボーッとして。なんか薬とかヤってんのか?」

「バカ、やってねぇよ・・・ちょっとした考え事だ」


スライムみたいな青の髪にリンゴみたいな目をした・・・

アリエルちゃんみたいな説明しようとしたけどダメだな。

こいつは俺の親友にして、一緒にプロレスしてる、ランスだ。ほんと、意外とプロレスって楽しいぞ?


「さあ、席に着けよー、そろそろ授業始めるからなー」


先生のその声とほぼ同時に、学校中に鐘が鳴り響く。

さあ、授業の始まりである。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「はあ、やっと四時限目終わったな〜もう、疲れるわ」

「あと二時限か・・・俺は勉強、楽しいんだけど」


俺達は昼食を取るべく、行きつけの食堂に向かっていた。

アリエルをボーッと見てたらマルクに誘われたので、しかたなくこうして足を運んでいる。

マルクじゃなかったらアリエルちゃん凝視コンテストの邪魔すんじゃねえと薙ぎ払う所だった。


「確かに勉強しに来てる訳だけどさあ・・・」

「マルク、お前、夢あったろ?それを叶える為に頑張れって。ほら夢、言ってみろよ」

「動物に囲まれて魔術使ってはしゃぐ事」

「・・・前までは偉大な魔術師になって父さん超えるとか言ってたろ」


マルクはやんちゃなくせして動物好きなところがある。ギャップ萌えとかはもちろん感じない。


「まあそれが本望だな。でも動物とはしゃぐってのも悪くない」

「いつでも出来るんじゃないかなそれ」


そんなこんなしている間に食堂に着く。なんだか懐かしい感じのする、おばちゃんのやってる食堂だ。

ガラガラと音を立て、食堂の引き戸が開く。


「おばちゃん、いつもので!」

「じゃあ俺もそれで」



カッッッーーーー!!!



「はいよ」

「「ありがとうございます」」


空中が青くピカッと光り、一瞬にして定食が出来上がる。

俺達が頼んだのは『おばちゃんの手作りゴブリン定食』だ。魔術で作った訳だし、手作りでもなんでもないのだが。


「いただきまーす!今日もうまそっ!」


何て物騒な名前だ、と思うだろうが、これが意外とうまいのだ。

定食は名前の通り、ゴブリン肉、ゴブリンの味噌汁、ポテトサラド〜ゴブリンの皮を添えて〜で構成されている。

最後のは外国から来た人が教えてくれたメニューだという。最も、俺にはセンスが分からんが。

マルクは1口目を大きく頬張るとしばらく噛んでから一気に飲み込む。


「そう言えば前から気になってたんだが、お前って何で威力の弱い魔法しか覚えないんだ?」


そんな俺の質問に、マルクは当たり前だろと言わんばかりの顔で。


「言うまでもねぇだろ?強え魔法で周りの動物達が傷つかないようにする為だよ」

「どんな状況で乱闘してんだ・・・」


俺のツッコミを聞き流し、マルクは味噌汁を喉へと流す。てかどんだけ動物好きなんだよ。家でヤシガニとか飼ってそう。


「じゃあ逆によ、お前は何でそんなに強いのばっか覚えるんだ?」


確かに、俺は強めの魔法ばっかり覚えてたな

それの為にどれだけ鍛錬したか。


「そりゃ強いやつの方がゴリ押して勝てるだろ?俺は魔力もそれなりに高いんだし。それに念の為、剣術も学んでるしな」

「その念の為っていう剣術が何で強いんだよ・・・」

「一応頑張ってるつもりだからな」

「これだけ頑張ってるのに、何で遅刻ばっかするんだよお前は」


それを聞いて思った。俺って意外と、遅刻しなかったらモテるのかもしんない。


「足も速いし、運動神経も基本はいいだろ?それに加えて頭もいいんだぜ?もう少し頑張れよそこんとこ」


・・・いや、これはありうるぞ。ほんとモテるかもしんない。


「だからクラスで陰の遅刻魔って呼ばれるんだよ」


なにそれ初耳。

こりゃ煽られてるな。一見カッコイイのが鬱陶しい。所詮はあだ名を囁かれる陰キャだと、現実って怖いな。


「で、なんだけどさ、今日、2人でアリエルちゃんに告ってみない?」


そこに暫くの間沈黙が訪れる。

・・・・・・は?


「な?いいだろ?賭けってやつだ」


・・・いやいやいや、唐突すぎる。

久々に思考が停止したわ?。


「・・・何で?」

「だってお前、アリエルちゃんの事好きっしょ?」

「!?」


何故それを!?その言葉を口にしようとする。が、マルクの方が先に口を開く。


「見すぎだっつの。さっきだって凝視しまくってたじゃねえか」

「・・・俺ってそんなに分かりやすいのか・・・でも嫌だぞ?」


自分の分かりやすさを見つめ直しながらも、俺は否定する。


「んだよ、失敗が怖いと何も始まんねぇぞ?」

「・・・・・・」

「な?」


なんだコイツ、しつけえ・・・

やむを得なさそうだな・・・

これ以上しつこくされてもたまったもんじゃない。


「分かったよ。俺が絶対アリエルちゃんと付き合うかんな!?」

「おお、その意気だ!まあ、勝つのは俺だけどな?バカにされてるお前よか俺の方がいいってんだ」

「あだ名囁かれるだけじゃなくてバカにもされてんのかよ俺・・・ったく」

「ま、ありがとな。1人だと失敗しそうで怖いんだよ」

「隣に雑魚がいると比べちゃって成功しやすいってか。シバくぞおらぁ!」

「まあ怒んなって。お前が勝つんだろ?」

「くぅ・・・」


俺はコイツには絶対負けないと心に決めつつも、放課後のため、早速脳内でシュミレーションを始めた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


6時限目


「うひょー、久しぶりに来るけどやっぱ広え

な」

「だな。流石は国1の学校ってとこだ」


俺達は授業と言うことで、学校にある図書館に来ていた。

基本自由に本を読んでいいらしいが、自由に回っても回りきれない程の広さはある。


「じゃ、回るか〜」

「行ってらっしゃい。俺はアリエル観察会第256回と行くよ」

「先駆けは許されねぇぞ?てか数えてんのかよ・・・」

「めんどくさいな・・・」


確かにこれだけ本があると興味は惹かれるが、マルクは子供のようにワクワクしている。

お前17だろ・・・多分頭の中は1桁くらいなのか

笑顔を浮かべながら、マルクは階段を駆け上がる。

そして右に曲がると。


「おっ、あったあった、魔導書〜」

「魔導書っつっても、何すんだ?何か魔法でも覚えんるのか?」

「いや、面白そうな魔法見まくる」


訂正、行動まで子供。

・・・まあ面白そうだし、見てみるか。


「おっ、呪術コーナ〜」

「んなもん見るんじゃねえよ・・・てか何で覚える方法まで書いてあんだよ、この本大丈夫か!?」

「大丈夫だって、覚える方法もれなく全部無理に等しい」

「だけどさ・・・」


だからといって、かなり無茶な魔導書だな。

国で禁止されてる魔法を覚え方まで細かく掲載してやがる・・・


「すげえ、自爆とかあんぞ」

「覚えんじゃねぇぞ」

「分かってるって

・・・ん?何だこの『転生術』って。一つだけ簡単に覚えられそう・・・でもないか」


確かに、この『転生術』とやらだけ、異常に覚え方が簡単だった。

とは言っても、他が難しすぎるだけだが。

他のものは、例えば『自爆術』だと、自爆系モンスターの爆発を幾100度か食らう事で習得出来る、等といった無茶なものだった。

しかし『転生術』は・・・


『身体のどこかに刻印を焼き、その核を打ち砕く』


簡単とは言えないものの、少し無理をすれば出来なくもないものだった。

説明として、異世界へと転移できるものらしいが、戻って来れないと言う。

そんな危険なものが、よくここまで簡単に書かれたものだ。

焼いて刻印を作るには強い激痛が伴うらしい。

てか打ち砕くってなんだ。絶対治すのに高等魔法必要なやつだ。


「関わらない方がいい感じの術だな・・・」

「呪術はもれなく全部そうだと思うんだが、まあこれは特に危険だな」

「ああ、緊急事態以外は使わないようにしないとな」

「お前今なんつった」

「何も?」


今マルクとてつもなく危険な事を呟いた気がしたんだが・・・

・・・うん、気のせいじゃないと思う。

俺達は、魔導書を読むのはやめにして、他のコーナーへと向かった。

美味しく頂くママの手料理、ホントのホントは乙女なメドゥーサ、など本の種類が豊富である

メドゥーサって乙女なのか・・・

約束の時間まであと1時間を切った。

少し緊張してきたが、もうマルクはアリエルちゃんを放課後にクラスで待っておけと伝えてあるらしい

・・・髪は整ってるかな。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


そして約束の時、放課後。


やって来てしまった。

ついにこの時が。

凄い後悔してる。

心臓バックバックいって止まらないったらありゃしない。

でも後悔しかない訳じゃない。

一応、チャンスでもあるのだ。

何とかしてこのチャンスを・・・


「うい〜、緊張してやんの」

「何でお前はそうヘラヘラと・・・

緊張してねぇだろ」

「してるわ、だからお前誘ったんだよ〜」

「こいつ・・・」


2人失敗ってこともあるのに随分と浮かれてるな俺ら・・・

そんな事を話している間にも、教室が近づいてくる。

やべぇ、こんなに緊張したのは今日が初めてだ

歩く足音の速さを脈の音が追い越す。

そしてついに教室の前に着く。

少しドアが開いている事から、中には既にアリエルちゃんがいるのが分かる。


「よし・・・いくぞ」

「ああ・・・」


ドアを開けると、そこには夕焼けを見つめるアリエルちゃんの姿があった。

オレンジ色が反射したその瞳は、限りなく美しい。

アリエルちゃんがふとこちらに気づく。


「あっ、来たね。どうしたの?何か用があるって聞いたんだけど」


「ああ、その事なんだけど・・・」


マルクが勝手に話を進めようとする。

いいのか!?もう言うのか!?

ちょっと待て心の準備が・・・

俺がマルクにアイコンタクトを送るが、努力も虚しくマルクはアリエルちゃんのみを見つめる。


こいつ、覚悟ができてやがるな。

さすがだな・・・

俺も負けてられねえか。


「で、なんだけどさ・・・アリエルちゃん」

「・・・うん」

「その・・・」


「・・・お、俺と付き合ってください!」


突然口を開いた俺をマルクは一瞬だけ見て、焦ったのか口を大きく開き。


「俺もだ!俺もアリエルちゃんがすきなんだ!だから、俺からも言わせてくれ

付き合ってください!」


俺とマルクは下を向いたまま、アリエルちゃんの返事を待っていた。

オロオロしているのだろうか。

それとも笑顔でどちらかを見つめているのか

少し沈黙が訪れたあと、ついにアリエルちゃんが口を開く。


「私ね、その・・・2人とも大好きなの」


そうなるのか・・・

多分・・・断られる感じだな・・・


「・・・その、選べって言われても選べないの」


こういうお世辞が1番傷つくな・・・

でも本人も頑張って言ってるんだよな・・・


「だから・・・2人とも付き合おうと思うの」


・・・え?

今なんて・・・


「私ね、いつも2人がプロレスしてるの見ていつも、この2人をずっと見ていれたら幸せだなって思ってたの。

だって、生で男の子がくっ付き合うのってそうそう見れないじゃない?

だから毎日のお昼休みが楽しみだったわ」


ちょっと待ってくれ・・・

何だこの展開・・・

どうなるんだ?

告白は?

結果は?

俺達の告白はどうなったんだ?


「いつかは2人とも自分のものにしたいって思ってたわ。

でも自分から来てくれるなんて・・・

私、凄く嬉しい」


少し隣を覗くと、マルクが目を見開き、未だ状況を理解できない様子で地面を見つめている

それは俺も同じだ。

何といえばいいのか、前を見るのが怖い。

自分の告白の末が見えないのだ。

それが怖くてとても・・・

そしてまたアリエルちゃんが口を開く。


「さっきも言ったけど、2人ともと付き合うことにしたわ」


その口調は先程とうって変わり、淡々と。

そしてまるで、自分に決定権があるとでも示すかのように。


「一生、私の所に置いてあげる」


自信を持って、そして周りのもの全てを固まらせるような冷たい口調で。



「さあ、私のモノになりなさい」



危機感を感じ、俺達はほぼ同時に頭をあげる

するとそこに居たのは・・・


先程までの儚げな表情などどこに行ったのやら

俺たちの前に立っていたのは、

蛇でできた深緑の髪に、欲にまみれくすんだ青の眼をした。

神話にしか出てこないはずの

メドゥーサだった。


嘘だろ・・・

思考が完全に停止する。

俺は膝から崩れ落ち、黙って地を見つめる。

そんな俺の襟を誰かが引っ張り、立ち上げた。



いつの間にか俺は、マルクに手を取られ、廊下を走っていた。

マルクの顔は酷く恐怖に怯えている。


「マルク・・・」


話しかけても反応はなく、ただただ走り続けるだけのマルク。


「マルク・・・おいマルク!」


「・・・!?

なんだよ!?

なんでだよ!?

何でこうなんだよちくちょう!」


後ろからはカタカタという奇妙な足音と、シュルシュルという変な音もする。

アリエルちゃんが・・・あんな・・・

なんでこんなことに・・・


「・・・!?

そ、そうだ!マルク!目は見るんじゃねえぞ!石化されちまう!」

「んなこた分かってるよ!とりあえず今は走れ!こっちだ!」


マルクはただ走っている訳ではなく、何か目的の場所があるように見えた。

どこだろう・・・どこに向かって・・・


「止まりなさい!そしたら立派な石像にしてあげる!

そしてその石像2人がプロレスしてる姿にするの!

ふふっ、考えただけで震えが止まらないわ!」


「「ッ!?」」


アリエルが放つ一つ一つの言葉に俺達2人はゾッとする。

背筋が凍るとはこの事なのだろうか。

好きな人が、大好きだった人が、

メドゥーサだった事に加えて腐女子。

なんて皮肉だろう。


「こっちだ!」


マルクがそう言い、俺をドアの中に無理やり引きづりこみ、すぐさま鍵を閉める。


「おいランス!?

こっちだ!早く来いって!急げ!」

「あ、ああ」


俺達が逃げ込んだ場所、そこは図書館だった。

マルクは恐怖を顔に浮かべながら、階段を駆け上がる。


「お、おいっ

お前まさか・・・」


マルクは俺の言葉も聞かず、直ぐに右に曲がる

こいつ、やる気だ。

俺もマルクを追いかけて階段を駆け上がる。

その瞬間、図書館のドアが大きな音を立て、かなり広い図書館の反対側の壁にぶち当たる。

そしてさっきまでドアがあった場所から蛇の頭が幾つも顔を覗かせ。


「どーこだ、みつけちゃうぞ」


普段聞いていたら可愛いであろうその言葉も、今聞くと狂気しか感じさせない。

メドゥーサが乙女なんて話があったっけ。

ありゃ嘘だろう。


「いたいたっ、そっちから来てくれたら、ちゃとゃっと石化させてあげるよ?

そうでないと、じわじわ石化することになるけど〜

さあ、選びなさい」

「『インフェルノ!』」


俺はマルクのもとまで駆け付け、そこからアリエルに魔法を放つ。


「どうだ・・・!」


俺の魔法はアリエルに直撃する。

仕留めるまでは行かないだろうが、確実にダメージは与えたはずだ。


「へぇ・・・反抗しちゃうんだ・・・

しょうがないね・・・」


炎が立ち込めた階段の下から、声だけがする

おい・・・まさか食らってないんじゃ・・・


「ひゃはっ!」


不気味な笑い声と共に、1階から急にアリエルが飛びかかってくる。


「!?」

「ふふっ、私の・・・私のランス・・・ランスゥ!」


アリエルの言葉に合わせ、髪の蛇も口を開け、俺へと迫る。


「う、うわあ!リ、『リベンジ』」

「ッ!」


俺が魔法を唱えると、とんでもない勢いでアリエルが飛んでいき、天井に頭をぶつける。

くっ・・・化け物って分かってるのに・・・

少し躊躇してしまうんだよ・・・

頭をぶつけるのを見るのも痛々しい。


「『フレイア』ッッ!ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」


マルクは自分の手に魔法を放ち、刻印を作っていた。


「!?

もう刻印出来たのか!?体は大丈夫か・・・」

「あ、嗚呼・・・俺の方は準備・・・整ったぜ

あとはお前の手にも同じ刻印を・・・」

「嗚呼、頼む。済まないが俺は刻印を焼ける程度の炎系魔法は持ち合わせてないからな。体ごと飛んでってしまう」

「そんな冗談言ってる場合じゃねえって・・・

じゃあ行くぞ・・・」


と、その時、目の前にいたはずのマルクがぐにゃりと曲がり、轟音とともに壁に穴を開けていた。


「マルクッ!?」


気づけば俺の横には狂気に満ちたメドゥーサの姿が。


「やってくれたわね・・・もういいわ・・・確実に・・・確実にコロスッ!!!」


その目は本気で、完全に怒りに任せたものだった。

彼女の髪の蛇は目を紅く光らせ、一体一体が奇妙に輝いて見える。


「『インフェルノ』!!!」


俺が魔法を唱えても、彼女は首を曲げてひょいとかわす。


「ふふっ、2回も同じ手にかかったりしないわよ

普段はもっと凄い魔法使ってるじゃない

見せてよっ」


「・・・お前に見せてない魔法だってあるさ」


俺は決して目は見ないようにしながら、メドゥーサを睨む。


「へえ〜、私を好きだって言ってた男にお前なんて言われるのは不快な物ね

見せてみなさいよ、その魔法」


メドゥーサは俺が目を見ないようにしているのを分かっていながら、こちらの顔を覗き込んでくる。

俺は目を瞑り、考える。

・・・使うか?

いや、使ったら大事故は免れない。

ここが既に惨状と化しているとはいえ、学校の敷地が半滅してしまう可能性だってある訳だ・・・

考えろ・・・どうするのが1番効果的か・・・


「どうしたの?考えてる暇はないわよ?

ほーら、蛇がドンドン近ずいてくるわよ〜

目を瞑ってないで見なさいな」


考えろ・・・

考えろ・・・

考えろ・・・

一体どれが1番の解決策なんだ・・・


その瞬間、何が起こったのだろう。

詳しくは覚えていないが、

ただ少し、覚えているのは。


誰かがメドゥーサを思い切り蹴飛ばした。

そしてそいつは俺の額を抑え、壁へと打ち付ける。

そして額を抑えたまま、


「『フレイア』ッ!!」


炎の魔法を、俺の額へと放った━━━━━








どうも、今回が初めて書く小説となります、うぼンヌです。

早速ですが、この作品について。

1話ではコメディとシリアスが交差するような形で、どっちが物語の真髄なのか分からなくなってきたりしてましたが、今のところは物語を充実させたいと考えています。

ちゃんと世界も交差するのでご安心を。

ちなみに、作中に出てきた『リベンジ』という魔法ですが、自分に当たった魔力源を吸収し、自分の魔力の消費でさらに強化して返すといった魔法です。分かりにくかったかもしれないので一応、という説明でした。

さて、1話ではあらすじの半分が終わった形になりますが、残り半分はいつ回収されるか自分でも分かりません。

まず2話の更新までにどれくらいかかるかさえよく分かりませんので・・・

はい、急いで書きます。

では、後書きはこれくらいにするとします。

この度はこの小説を読んでいただき本当にありがとうございます。本当に読んでくれる事が唯一の原動力となります。

まだまだヒヨっ子ですが、これからもっと勉強して、さらに良い作品を作れるよう精進します。

では、また2話で会いましょう!

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