セレトスの怪花
アーサーは堪えきれないようにクククと笑うと
「確かに、だな」
冒険者っていつだって何もない状態から色んな所を回っていたんだよな
とイサミを見た。
そうなのだ。
冒険者の最初はいつも何もない…そこから走り回り、戦い、そして、道を開いてきたのだ。
且つて牢屋に囚われてどうするべきかと考えた時も『逃げよう』とあっさりと言ったことがあった。
『僕たち悪いことをしたわけでもしようとしているわけでもない』
だから
『大丈夫』
どこか自分達とは思考が違うのだろう。
いや、恐らく強い自信があるのかもしれない。
冒険者という…力や在り方の自信があるのだろう。
ルーシェルはハァと息を吐きだすと
「ま、任せるか」
俺は面倒くさいのは嫌いだからな
と肩を竦めた。
イサミは頷いて
「はい!話してきます!!」
と答えた。
アーサーはルーシェルとラルフを見ると
「じゃあ、俺とイサミは王城へ行く」
待っていてくれ
「どうせ、呼べば察知してきてくれるんだろ?」
と言い、歩き出した。
ルーシェルは嫌な表情をしつつ
「おいおい、伝書鳩じゃねぇんだぞ」
と腕を組んだ。
だが、確かに感知できるのだから…話し合いが終われば行くことになるだろう。
ラルフは気にした様子もなく
「わかった、待機しておく」
と答えた。
ルーシェルは「…考えるのすら馬鹿らしくなるな」と心でぼやいて、イサミとアーサーを見送った。
緑の森を抜け、イサミとアーサーは広がる町の中央にある王城を見つめて足を進めた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。