セレトスの怪花
イサミとアーサーは王都へ戻りかけたがルーシェルはそれに
「お前達だけでいけ」
俺は面倒くさいのはしんどいからな
とさっぱりと告げた。
「大体、俺は地下の国の魔族だ」
中の国の王族への報告はお前達がしろ
イサミは笑顔で
「はい」
と答えた。
照れ隠しだと分かってるのでツッコミはしなかったのだ。
が、アーサーはそれに
「別に取って食ったりされないが」
と笑いながら言い
「じゃあ、行ってくる」
と答えた。
ルーシェルは「誰が取って食われるか!」と突っ込みつつシッシッと手を振って送り出した。
ラルフもまた
「では報告は頼む」
と言いその場に残った。
イサミとアーサーは兵士たちと共に王城へと戻りリアナと対面した。
リアナは彼らを出迎え
「本当にありがとうございます」
と玉座から立ち上がると頭を下げた。
「他の国の王のように武力に勝ると言う訳でもない王ですので」
怪物の脅威が取り除かれたことは本当に助かりました
イサミは彼女を見つめ
「どこの国の王も一人で怪物を倒すことなんてできないよ」
王がどれほど強くてもたった一人で出来ることなんてたかが知れてるよ
とにっこり笑って告げた。
「イリスの国の王が女性になったのは戦いより深い愛情と平和を愛する力で治めたいという最初の国王の願いからだったんだよ」
そう言ってはっとすると
「あ!イリス国はね」
セレトスの最初の最初の国なんだ
と告げて
「僕は戦った兵士の皆が貴女を信頼して国を凄く愛してることが分かった」
それは貴方が懸命に国を愛して守ろうとして立っているからなんだと思う
「だから自信をもって下さい」
国を愛し平和と安寧を願い立ち続ける王こそ男女関係なく素晴らしい王だと僕は思っています
と笑みを見せた。
リアナは目を見開くと静かに穏やかに微笑み
「ありがとうございます、伝説の魔導士殿」
私はこの国を…愛しています
「そして国民たちを」
だからこそ無益な戦いを起こさず平和への道を常に指し示していける王になろうと思います
と告げた。
「そう思えることが出来ました」
イサミは笑顔で
「貴方ならきっとできる」
と答えた。
アーサーはそれを見て笑みを浮かべた。
そして、別れを告げて王城を出るとアーサーはイサミに
「セレトスは良い国になるな」
と告げた。
イサミは頷くと
「きっとなるよ」
と笑顔で答えた。
2人の前に明るい日差しが降り注ぎ、その向こうでラルフとルーシェルが待っていたのである。
次なる怪物封印の場所へ向かうために。
同時に怪物の秘密を知るあのロキという冒険者の行方を追うために。
長い旅路はまだ続くのであった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




