セレトスの怪花
イサミは兵士たちの方へと回り込みマンドレイクの形態変化に気を向けた。
今は蕾の状態で瘴気を出しているがそれほどでもない。
イサミは徐々にマンドレイクのHPが削られていくのを見て
「マンドレイクはHPが5%を切ると形態変化をして最初の攻撃で毒の息を吐き出すんだよね」
と呟いた。
「タイミングを計ってバリアを張らないと後で大変なことになってた」
言って、ウィズダムロッドに持ち替えるとHPが5%を切って周辺に赤いダメージエリアの表示が出た瞬間に
「我に応えよ。始原の原力」
サークレッドバリア!
と唱えマンドレイクが毒の息を周囲に吐き出すタイミングでバリアを張った。
同時に
「我に応えよ、始原の原力」
ライカシュトラール!
と輝く光の球体に炎を纏わらせて杖を振り上げるとそれをマンドレイクに向けて放った。
マンドレイクを貫き大きく、マンドレイクが大きくうねったところにアーサーとルーシェルが同時に突っ込み僅かに残ったHPを削り取った。
マンドレイクは燃えるように霧散すると黒いゲルに包まれた塊が氷の上に落ちた。
怪物の核である。
アーサーはイサミを見ると
「イサミ!!」
と呼びかけた。
イサミは頷くと
「レビンアロー!」
と雷を落として連結魔導石を包んでいたゲルを粉砕した。
それをルーシェルがゲルを砂に戻して回収し、イサミは連結魔導石を前に手を伸べて吸収した。
兵士たちは戦いが終わったのだと理解すると歓声を上げた。
国の脅威を自分たちが押し退けたのだという誇りの声でもあった。
リアナはそれを王城の小塔から見つめ両手を組み
「ありがとうございます」
と小さく呟いた。
母か。
いや、祖母から。
いや、そのもっと遥か過去の先祖の女王たちから引き継がれてきたセレトスの国。
愛していないわけではない。
それでも他の国のように力の強い王でないことに不安を覚えていた。
このまま女系の王で良いのかと。
その状態であの魔物が復活して自分が何の役に立つのかと。
リアナは背後で彼女を守っていた兵を見て
「皆を労いましょう」
この国の大きな脅威を除いてくれたのです
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




