6.定例会議の始まり〜プレゼン・魔王〜
魔王城の大会議室
『大』とあるが、その部屋自体が広いわけではなく、魔王軍の重役が大きな決め事をするために使われらからである。
実際、その部屋は縦長なテーブルと椅子が11あるだけである。
一番奥の一座は物凄く豪華な装飾をしている。
もっとも、そこには誰も座っていないが。
というか、部屋の中には未だ3人しかいない。
そしてその豪華イスから見て右列の一番豪華イスに近い席に僕は座っていた。
そのイスの背もたれには『0』の数字が書いてあった。
豪華イスから見て右列は0〜4、左列は5〜9の数字がそれぞれ書かれている。
「久しぶりだなぁ、ベン」
「そっちも元気そうだね、ハードパルド」
僕の対面ーー『5』の席に座る人物が声をかけてきたため、それに見合う返事を返した。
彼の名前はハードパルド・メタルネード。
魔族で、グレーの肌、真っ赤に光る目に隙間なく生えているキバ。
毛髪は無く、黄色と黒が交差した模様のツノが5本頭に生えている。
半裸で、茶色のパンツを唯一している。
しかし、その肉体は鋼のように鍛えられていて、パンツのみの姿もその肉体を見せつけているようにも感じる。
彼は魔王軍第五番隊隊長であり、『金鋼鉄人のハードパルド』と呼ばれている。
「にしてもよぉ、ここ15年も魔王城をほったらかしにしてよぉ、そのお陰で新しく入った新人とか零番隊の存在すら知らねぇ奴らもいたぜぇ?それに魔王ちゃんとかオメェの妹とか心配してたぞぉ?こりゃ会議の前にオメェの説教とかありそうだぜぇ」
まじか。
来るんじゃなかった。
にしても妹も心配してくれたのか。
昔は僕に対してだけ当たりが強かったんだけど…
性格がマイルドになっていることを願うよ。
「で?今回はどんな奴がいたんだぁ?」
ハードパルドがいたって真面目な顔で聞いてきた。
「ぷっ……」
「おいゴラ、んなぁに笑ってんだぁ?」
「アハハハハハ、だって、ハドパルの真面目な顔、面白くって」
ハードパルドの真面目顔を笑ったのはスティア。
彼女は四番隊隊長の為、『4』の席に座っている。
ハードパルドはそのイカツイ肉体に似合わず、フレンドリーな奴で、話しかけやすいし、会話のキャッチボールも上手い。
そのため、真面目な顔というのはあまり見せないのだが、それがスティアのツボにハマったらしい。
「全くよぉ……で?どうなんだぁ?ベン?」
「うん、名前はレスティア・フレイシス。女勇者だよ」
「オンナかぁ。それじゃあ気安く殴れねぇなぁ」
ハードパルドはたとえ敵であろうと、女性は決して殴らない、紳士なのである。
そしてハードボイルドと魔王軍第五番隊隊長に相応しい無類の強さ。
これを誇るハードパルドは女性ウケがとても良い。
がしかし、ハードパルドは絶対に彼の妻を裏切らない、愛妻家でもある。
そのため、魔王軍人気ランキング男性部門でも上位に入る。
『ギィィィ………』
扉の開ける音が聞こえた。
「なんじゃ、まだこれくらいしか………っ!!ベーーンくぅぅぅぅん!」
扉の裏から顔を出した幼女は、全体を見渡し、僕の姿を目にしたら、テーブルを乗り越えてそのまま僕の胸にジャンプ&ホールドしてきた。
「グハァ!」
幼女の頭が僕の鳩尾に入り、無尽蔵にある僕のヒットポイントも微量ながら減ったのが分かった。
それにしても、この幼女は僕が戻ってきたことがそんなに嬉しいのか。
「イッテテテ(実際はあんま痛くない)……お久しぶりです、魔王様」
「あぁもう、ベン君が居なくなって本来ベン君がするべき仕事を私がすることになったし、ほんっっっといっそがしかったんだから。でも、これで私も重労働から解放されるのかぁ」
違った。ただ仕事手が戻ってきて嬉しかっただけのようだ。
この幼女はアルテ・ヴォンテーズ・シルドーネ
現魔王であり、『憎悪』を好む純血悪魔である。
こんななりだが、僕と小さい時を共にしている、幼馴染である。
僕は公私の区別をつける人なので、ここでは敬語に『魔王様』と呼ぶが、プライベートでは『アルちゃん』と呼ぶ。
だがこの幼女魔王は魔王として威厳のある言葉遣いを使わず、一人称も『私』になっている。
ここが部隊長定例会議の場所でよかった。
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「さて、でははじめるかのう」
一人豪華な椅子に座る、ゴスロリな服に黒い髪を姫カットにしているツリ目幼女魔王ーーアルちゃんが宣言する。
いやー、それにしてもみんなからの注目の視線が来るなぁ。
久し振りに参加したから物珍しいのだろう。
見知らぬ顔もいるし。
ちなみにこの場にいないのは『1』と『6』の椅子の主で、第一部隊隊長である我が妹と第六部隊隊長。
第六部隊隊長は、現在第六部隊を引き連れて人間界へと進行中なのだとか。
妹の方は聞いていない。
「では、こりより、第5378回、部隊長定例会議の始まりじゃ」
『イェェェェェイ!!!』
『ドンドンパフパフ』
若い奴らは元気じゃのう。
作者「新年、明けましておめでとうございます。今年も、『魔王軍第零部隊隊長〜絶望の化物〜』をどうぞ、よろしくお願い致します」
ベン「『実は貧乳好き』な作者共々、今年も頑張っていこうかなと思います」
作者「は⁉︎ちょっ!」
スティア「どうしたのー?」
作者「いや間に合ったよね⁉︎一月三日!」
アルテ「こーんな夜に投稿してもノーカンじゃ。アウトじゃ」
作者「そんなばかなぁ」
ハードパルド「じゃ、次回までの締め切り行くぜぇ、次回は、一月八日までに一話以上だぜぇ」
スティア「おー、ハドパル結構猶予あげたじゃん!これは流石にやってくれるよねぇ〜?」
アルテ「そうじゃのう。じゃあ、もしできなかったらペナルティは『住んでいる都道府県』でも暴露してもらおうかのう」
作者「個人情報だぞそれ……」