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魔王軍第零部隊隊長〜絶望の化物〜  作者: 雲雀なるは
第2章 化物は魔王の手足として不本意ながら動く
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17.心的外傷と耐え切れない誘惑

「『竜剣流奥義』ーー『一閃』」


「んなっ!」


僕は少しだけ関心した。


まさかこの僕に『竜剣流奥義』を使わせるとは…

確かにこの男、前戦った時よりかは少しばかり強くなっていたのかもしれない。


だが、調子に乗ってハンデを与え過ぎた僕も悪いと思う。

そのお陰で僕の体は穴だらけだ。

まぁ、急所を外してくれたためこれ程度の怪我はツバつけときゃ治るものばかりだ。


「貴様……出し惜しみをしていたのか……?」


僕の勢いに吹き飛ばされ、距離をつけているところから話しかけてきた。

当然ながら警戒している。


「出し惜しみ?いいやそんなことはしていないさ。ただ単に、お前には僕に対して溜まった鬱憤を晴らしてもらおうと思ってね。湯船だってそうだろう?次使うには今溜まってる水を流さねばならない」


「……なにが言いたい?」


「僕の好む感情は『心的外傷』。又の名を『トラウマ』だ。僕は三年前、わざとお前のトドメを刺さなかった。お前にトラウマを植え付けるために」


僕の好む感情は『トラウマ』だ。


トラウマは、僕にとって非常に美味に感じる。

ただ、その美味さを露わにするのは、ちょっとだけ手間がかかる。

言うならばカニを食べる時と同じような感じだ。


三年前、僕は突っかかってきたこの勇者を完膚なきまで叩き伏せた。

その頃のコイツにとっては恐怖を感じただろうな。


他のどの魔物よりも圧倒的に強い。

逃げられない。

勝算はない。

怖い。


これらの思い出が、トラウマの誘発につながる。

そしてもう虫の息になる程ボコボコのヨレヨレのボロ雑巾にし、最後は……


暗い笑顔で立ち去る。


これでコイツの心の中にもう一人の僕を植え付けることになる。


結果定例会議では嘘をつく形となってしまったが。


この三年、非常に辛い日々を送っていたのだろう。

トラウマは恐ろしい。

酷ければ感情や感覚の麻痺、うつ病、記憶喪失、心拍上昇、血圧上昇、自律神経の崩壊などの症状が現れるらしい(作者調べによる)。


そしてやっとの思いで僕を倒せると思いきや、結果また僕にボロ雑巾にされる。


これで恐らくコイツは再起不能になる程だ。


「さて、ではくだらない復讐劇はこれくらいにして、僕に遊ばれてもらいましょうか」


笑いかける。


「ひっ……」


去り際に見たこの顔こそが、コイツのトラウマの原点である。


「くっ…来るなあ」


「そんなに恐怖を覚えるな。僕はただ、君にもう一度、深い『トラウマ』を植え付けるだけ、だ」


彼の横腹を剣でぶん殴る。


この剣は魔力を流さなければ何も切れない。

だがそここそが、僕がこの剣を愛用している理由である。


「さぁ、さあ、さあ!さあぁっ!」


「グハッ、グビッ、ブホォ、ガハッ!」


瞬間的に四発食らわす。

もちろん剣に魔力は込めてない。





嗚呼、快感なり





トラウマがコイツの精神を蝕むのが分かる。

素晴らしいではないか!





これこそ僕の求めていた『トラウマ』だよ。





「かひゅー……かひゅー」


地面に突っ伏しているユークリート。


もう肉体的にも、精神的にも、立ち上がることはできまい。


ん?気がついたら第十階層の壁が壊れているじゃないか。


まぁやったのは僕なんだけど。


いやー。

多分僕って、魔王軍の部隊長では一番強いんじゃないかなぁ。


あの聖女、なかなかの強さだったわけだし、ベン様はやられていないといいけど……まぁ助けに行ってあげよう。


「じゃあな、ユークリート。また次会うときも、僕を楽しませてくれたまえ」


最後に笑いかける。


ユークリートの目は、もう輝きを失っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



第九階層に降りてきたスシュロスの目は点になっていた。


「えとまぁ、あれだ。そっちもお疲れ様」


「何がどうなったらそんな状況になるんですか」


「洗脳魔法をミスった」


「なんで洗脳魔法⁉︎ベン様ってそんな趣味嗜好があったんですか⁉︎」


「違うわドアホ!」


まぁこの状況を見たらそう思ってしまうのも無理はない。


だって……


ミカエルとミューが裸で、僕がミカエルの肩を掴んでる状況なんだもん。



それは時を少し遡る。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「おねえさん、だーれ?あ、ご主人様だぁ、えへへ」


「「えっ?」」


目の前の、見た目はもはやロリの女の子が、先ほどのようにムスッとした顔でなく、無邪気な顔で僕に笑いかけてきた。


「えと、ベン様?一体何を行なったのですか?」


「うんとね、あー。せ、洗脳魔法を少々…」


あヤベェこれ。

絶対ミューに引かれたパティーンじゃん。


少女を洗脳して『ご主人様』って呼ばせるとか、どこの鬼畜作者だって言うんだよ!!


「さ」


「いや、これはね!ちょっとだけ魔力のコントロールをミスったといいますか」


「さ」


「いやそれでも『ご主人様』なんて呼ばせるなんて洗脳、ピンポイントでできるわけないよね!あーでも、ほんと僕は何もしてないから!焦ったら偶然!偶然そうなっちゃっただけだからぁ!!」


「さすがですベン様!!」


あぁ……そんなキラキラした目で見ないでください。


「天使ミカエルをただ単に倒すだけでなく、奴隷に引き込むように魔法をかけるとは!ですがベン様、確かに謙遜は上級悪魔、純血悪魔からしては美徳ですが、ベン様はもっと堂々と自慢してもいいと思うのです。ベン様はもっと他人により評価されるべきお方だと思いますし」


その本当に都合の良い解釈が、僕の少なからず存在する良心を痛めつけていることをミューは知らない。


「えと、ご主人様?」


「な、なんだい?」


「今日のご奉仕は、夜でいいの?」


ちょっと待ていきなり何言っちゃってるの⁉︎


まさかあれか!

奴隷は奴隷でも『性』奴隷のほうか!

待て待て!

僕は確かに悪魔だから性欲なんか大きくないが、誘っちゃったらいくら僕でも耐え難いものはある!

あでも、僕6500超えてるけどまだDTだし…これを機に……とか何考えちゃってるの!僕!


「ベン様……」


あやばいよ!

ミューがプルプル震えてるよ!

これあれだよ!

涙目になりながら『サイッテー』とか言いながら走り去っていくヒロインみたいじゃん!

この前魔王城の図書館で見たよ!

確か……『らいとのべる』って言う、異界から来た勇者が持ち込んだとされているやつ。


「そんなに溜まっていたんなら、ここでやっちゃいましょう!」


「わ、私も、ご主人様、やる!」


「そうですか!では3Pですね」


……ふっ、どうやら僕は、コイツがサキュバスであることを考慮に入れ忘れてたみたいだぜ。


じゃ、ねぇよ!

あー!止めないと止めないと!

上ではスシュロスが奮闘してるっていうのに、僕たちがその下でパコパコやってたなんてアルテにチクられたら、絶対軟禁状態から改善の見込みがなくなっちゃう!


「ミュー!ミカエル!」


「はい、なんでしょうか」


「なに?えへへ」


動揺していることは表に出してはいけない。

きっと、ペースを持っていかれるから。


平常心で。

川の流れを想像する。

ああ、美しい光景だ。

お花畑と小鳥のさえずり、そして落ち着く雰囲気のログハウスが建っている。


ふっ…今の僕は、とっても凛々しい顔になっていることだろう。


「……ふぅ。……君たちはそれでいいのかい?」


「なにがですか?」


「?」


「だから、君たちも僕なんかの機嫌取りだけに、僕とその……エッチなことを無理してしなくていいのだよ」


「いえ、本望です」


「ご主人様、大好き」


「………」


目の前には、もう服を脱ぎ終えた二人がいた。


かたやタレ目で、僕より頭一個分小さく、薄いピンク色のゆるふわな髪と、サキュバスとして恥をかかないほどの大きなメロンを二つ持った美少女、ミュー。


かたや洗脳効果かは知らないが、ちょっとやる気のないタレ目を越したダレ目で、ミューよりさらに小柄で、背伸びしてやっと僕の胸あたりなくらい(ただしアルテよりかは大きい)の背で、貧相だがその少しの膨らみが欲をそそる胸を持つこれまた美少女、ミカエル。


すまない。

アルテ、ルネ、テルトナ、スティア、テートリア、ヴェル、リヴァイア、レスティ、リエル、シフィア姐……あと一応シャナと会ったことないけどナハルネとメールとアイリス。ああと名前出てないけど前回出て来た母さん。


僕は今までこの作品で出たことのあるミューとミカエル以外の女性キャラたちに謝罪をいれ、今の現実に向き合う。


「「最初はどっち(ですか)?」」


もう限界です。

僕の中で何かが切れた音がした。

僕は近いほうにいたミカエルの肩を掴み、


「どのみち二人ともやるんだ、はじめはミカエ」

「ベン様!助太刀にまいり……ま……した……」


「「「「……………」」」」


「えとまぁ、あれだ。そっちもお疲れ様」


今に至る。

ミカエル「あともう一歩、だったのに」


ミュー「ほんと残念です。スシュロス様空気読んでください」


スシュロス「え?僕が悪いの⁉︎」


作者「そーだそーだ!もっと俺に性的描写を書かせろ!」


ベン「うん君は引っ込んでようか」


ミュー「しっかし、意外とこの作品で出た女性キャラって多かったですね」


アイリス「みんな、あたしのこと覚えてる?あたしはレスティのパーティの一人、『姫騎士』で、アイリス・ヴァリー・ユークリーデ。一応ユークリート兄様とは兄妹の関係にあるよ」


テルトナ「私のことも覚えているかしら?女神テルトナよ。といっても、まだまだ出番には程遠いみたいだけれど」


テートリア「………」


ヴェル「………」


ナハルネ「………」


母さん(仮)「………」


シャナ「」


作者「この四人の上三人は、まだセリフが無く、今後キャラがブレる可能性があるのと、ネタバレに繋がる可能性があるため、公開しておりません。また、シャナはタヒにました」


レルラルロー「私のことなど皆さん絶対覚えてないと思うのですが……」


スティア「いや、意外と覚えてるよ?ラ行なのがすごく印象的」


リエル「そういえば、私も一話と二話しか出番無かったんですよね」


シフィア「私もよ……」


作者「分かった!勇者(ヤンデレ前)編書くから!そんな目で見つめないで!」


メール「そんなことより!次回投稿は2/3です!ブックマーク、高評価、コメント、質問等よろしくお願いします!」


リヴァイア「」←入り込む隙がなかった

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