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魔王軍第零部隊隊長〜絶望の化物〜  作者: 雲雀なるは
第2章 化物は魔王の手足として不本意ながら動く
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16.天使と洗脳魔法

〜スシュロスとユークリートが攻防を始める同刻〜


「さて、では私達も始めるとしますか」


目の前にいるきっちりとした、ストレートの赤髪を腰まで垂らし、左の方の髪を縛ったーー俗に言うサイドテールと言うのであろう、中々プリティーな天使(自称聖女)が語りかけてきた。


「ベン様」


「ん?どうした?」


「先ほどの罪滅ぼしに、私にこの女はやらせてもらえないでしょうか」


ミューがそう言う。


だが、相手は『七大天使』の一人であろう人物。

ミューには荷が重すぎるのも事実であろう。


「いや、今回はミューは手は出さないでくれ」


ミューは不本意ながら、我が魔王軍第零部隊において、とっても重要な役割を担っている。


僕の食事の用意とか、部屋の掃除とか、服の洗濯、風呂の用意、モーニングコール、マッサージ……


あれ?今考えたたら僕ってもはやミュー無しじゃ生きていけない体になっちゃってる?


「ミュー!」


「へ?あ!ひゃい!」


小柄なミューの肩を掴んで、僕の方に向かせる。


ミューの顔は、戦闘中だからか、興奮し、紅潮している。

そして、チラリと見える八重歯がまた中々……

極め付けに、返事の噛み方が超、超、超……


「可愛い」


「へ⁉︎」


あっ、思わず言ってしまった。

まぁ女の子への褒め言葉だと受け取ってくれるだろう。

実際、アルテやルネ、レスティに言ったらとっても喜んでもらった記憶がある。


「ミューは、ここで僕の生き様を見てもらいたいんだ。だから、僕だけを見ていてくれ」


「ベン様⁉︎……不意打ちは、卑怯ですよぉ」


あれ、なんか変なことでも言ったかな?


近接戦法や効率的な魔力の使い方について、僕を手本にして、見て欲しいって意味だったんだけど……


「あの、そろそろ宜しいでしょうか?」


あ、存在を忘れていたミカエルがジト目でこちらに聞いてきた。


「えーっと、ごめんごめん。今から行くよ」


そう笑いかけ、ミカエルの方に向かおうと思ったら、腕に何かが巻き付かれ、止まってしまう。


ふと後ろを向くと……


「絶対に勝ってくださいね、ベン様」


おうふ…

その上目遣いからのニコ顔は反則でしょう。


だが今、勝ってくださいなどと言われたが、正直負けるビジョンというものが見えない。


いやだって天使でしょ?

所詮ただの天使なんか、僕にとっては赤子の手をひねる……より簡単だ。

多分アリを潰すくらい。


「分かったよ。ミュー」


「ーーーーーっ!!」


ミューにも微笑み返したら、後ろを振り向いてしまった。


女心というものはよく分からんな。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「随分と待たせてくれたではないですか」


「あー、すまんすまん」


『怒り』の感情を発する天使ミカエル。


それを軽くあしらうことにより、さらなる感情の深みが増す。


だが僕は生憎『怒り』の感情は好みではない。


なんというか、ピリピリ辛いんだよね。


やっぱりこの子に『絶望』を味あわせてやりたい。


「僕は魔王軍第零部隊隊長『絶対絶望のベン』ことベン・テルメード。そっちは?」


しっかりと自己紹介を行う。

多分僕の予想通りだとミカエルは自分の正体について話すだろう。


そしておそらく、『私こそがあの七大天使の一人、『○○のミカエル』です!驚きましたか?』などと言うだろう。


「よくぞ聞いてくれましたね

聞きなさい!私こそがあの七大天使の一人、『熾天使・大天使聖・忠義のミカエル』です!驚きましたか?」


まじかよ。


一字一句違わないとは流石に予測はしていなかった。


でも大天使聖とは……七大天使のトップじゃないか。


ん?なんか返答でも待っているような顔でミカエルがこちらを見ている……


「…………………な、なんだと⁉︎」


「ふふふ、あーーっはっはっはー!どうやら怖気付いたようですね」


いや、そんなことはありません。


「まぁいいです。では、始めましょうか。私による、一方的な蹂躙を!」


あー。

なんだか痛いなー、この子。

まぁ自信がある分にはいいと思うけど。


「いでよ!わが聖槍『ロンギヌス』!」


刹那、ミカエルの頭上に大きな立体魔法陣が出現し、その中央から一本の槍が出てきた。


その槍は、フォルムが整い、白金に輝き、所々に赤く刻印が刻まれている。

そして、その槍からは未だかつてないほどの聖なる力が込められていた。





あっれー?

あの槍って確か、ルネが鍛冶を習得した時に打った槍じゃなかったっけ?


ルネは鍛冶の才能があったらしく、僕が鍛冶を習得するずーっと前に、すでに一人前になる程の腕前を持っていた。


というか、はじめにこの槍を打った時なんか、まだ僕もルネもアルテも幼児だった時なんだよなぁ。


それで打って数日後、どっかに投げて無くしたとか言って、僕に泣きついてきたのを覚えている。


えぇ……まさか、天使が拾ってただなんて……


「驚きました?この槍の聖なる力を」


まぁ驚いたっちゃ驚いたよ。

まさか悪魔の打った武器を天使が使ってるなんて思いもしなかったもん。


「このフォルム……きっと大昔の賢者が創り出したものに違いないですわ」


いえ、それ創ったのうちの妹です。


「さあ、いざ尋常に、勝負!」


心の中でツッコミの嵐が吹き荒れていた時に、ミカエルが突っ込んできた。


と、そこでとあるものが目に入りました。


所々に彫ってある赤い刻印、それは旧悪魔語でした。

現在世界共通で使われているのは、先先代魔王(アルテのお爺ちゃん)を討伐した、異世界から召喚された勇者が広めたと言われている『ニホンゴー語』である。


その刻印の内容は…


『5がつ3にち、はれ。おにいちゃんがおもらししておかあさんにおこられてた。』


『5がつ4にち、くもり。アルテひめさまがおにいちゃんのおもらしおふとんをみつけた。アルテひめさまはわらってた。』


『5がつ5にち、くもり。おにいちゃんがおそとでおもらしした。おにいちゃんはないていた。』


『5がつ6にち、はれ。くさったおさかなをたべたおにいちゃんがよる、はいていた。おかあさんはしんぱいそうにしていた。』


え?ちょっと待って?

ねぇ、ルネ。

なんでお兄ちゃんのことばっか書いてるの?

しかも嫌な思い出を。


あちょっとヤバいこれ。

その時のこと思い出してきちゃった。


恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!!


しかも、その黒歴史の塊に『ロンギヌス』とかかっこいい名前つけられているのが余計に恥ずかしい!


『羞恥』の感情が好みである悪魔がいれば、飛んで喜んであろうこの状況。


「……………『完全拘束(バインド)』!!!」


素早くミカエルを拘束した。

そして槍を奪還!

素早くマジックバッグに放り込む!


そしてー


「『洗脳(マインドコントロール)』!!!」


記憶改竄(きおくかいざん)だ。


忘れろ忘れろ!

たとえ天使だから旧悪魔語なんか読めなかったとしても、絶対に忘れさせてやる!


あ"ーーっ!恥ずかしい恥ずかしい!



ーーーーーーーーーーーーーーーー


作者「はーいここで質問コーナー開催!本日のゲストは、魔王軍第零部隊所属予定(・・)!メールちゃんにお越しいただきました」


メール「よ、よろしくお願いします」


作者「ズバリ!質問は?」


メール「はい!魔法の『洗脳(マインドコントロール)』について教えてください!」


作者「いい質問ですねぇ。

洗脳(マインドコントロール)』は、その字の通り、使用者が対象者に対し、洗脳を行う魔法です。また、事象としては、物事を忘れさせたり、嘘の記憶を植えつけたりできます。

また、使用者の魔力保有量によって脳に与える影響が大きくなります。

例えば、ベンなんかが使えば、やろうと思えばなんと記憶のすり替えから人格の矯正までできるんですねぇ。

この魔法の欠点としては、脳に直接関与する魔法なので、使用者の感情が穏やかな状態でないと、付与する魔力が多かったりして、結果対象者に重大な影響を与えてしまうことから、非常に危険な魔法と見なされているわけですねぇ」


メール「なるほど。つまり、使用者の情緒が不安定ですと、使用するには躊躇が必要だと」


作者「その通りです。間違っても!黒歴史を思い出し恥ずかしさのあまり悶絶しながら使用することのないようにしましょう。さもなくば、対象者の人生にまで大きな影響を与えてしまう可能性がありますので」


メール「なるほど、分かりました!」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「あ、ああ、あっ……」


「あ、やば」


魔力の調節間違えた。


「さすがです!ベン様!」


後ろから敬意のこもったメッセージを頂いた。


「あの天使長と呼ばれし天使の中でも最強の存在、ミカエルをこんな容易く撃破されてしまうとは!」


「えーっと……あ、ああ!もちろん!僕にかかればこんなのお安い御用さ!」


ミューさん、その純粋なキラキラお目目が痛いです。


そのあと、しばらくミューのマシンガントークは続いた。




「う……ん?」


「おや?起きましたか。貴女は羨ましくも先程までベン様によって眠らされていたのです。さあ、力の差が分かれば」

「おねえさん、だーれ?あ、ご主人様だぁ、えへへ」


「「えっ?」」


どうやら、なにか大変なことをしてしまったらしい。

旧ミカエル「私は死にました」


ミカエル「えーっと、その代わりが私?」


旧ミカエル「思えば今までの私はただの社畜でした……頑張っても頑張っても上司(神様)からもらえる賃金は変わらず。それに仕事をミスすれば、待ち受けるのは嘲笑や罵声。ホント、神界ってブラック企業でしたね……貴女は、私みたいになってはいけませんよ。自分の幸せは、自分で探すのです。考えれば、そのようにのほほんとした性格こそが、本来の私だったのかもしれませんね」


ミカエル「うん、私、頑張るよ」


作者「いや暗いわ」


ベン「第七守護塔編もいよいよ大詰め。スシュロスと、ユークリートの決着やいかに⁉︎」


作者「次回予告ありがとう。そういえば、前々回の予告通り、(旧)ミカエルに酷い目に合わすことができたろ?」


ミュー「いやー、まさか本当に予定通りにやるとは思いませんでした。正直引きます」


ベン「ホントだよ。引くわー」


作者「……おもらしゲロ野郎」


ベン「絶☆殺」


作者「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ミカエル「えとね、えと、作者さん?」


作者「はぁ、はぁ…なに?」


ミカエル「このあとなんて言うんだっけ?」←泣きそう


作者「………デヘヘ」


ベン&ミュー「キモッ」


旧ミカエル「あ、それでは多分この作品で最後のセリフとなると思うので私が代わりに言っておきます!次回の更新は2/2です!ブックマーク、高評価、コメント、質問等よろしくお願いしますね」

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