15.リベンジャー
さて来ましたスシュロス回!
今日から2月4日まで、毎日更新する予定です。
「スシュロス、貴様は私と一対一で勝負だ」
第九階層、そこには五人の人影がいた。
女神ナハルネの勇者ユークリート、漆黒斬のスシュロス、可憐淫魔ミュー(この二つ名は僕が付けさせてもらった)、絶対絶望ベン(あ、地味に初公開だね)、そして……
「他の二人は私が相手します。どうぞご覚悟を」
「いいのかい?ニ対一になるけど」
赤髪の聖女である。
まぁでも、天使オーラだだ漏れだけど、ね。
それにこの力、多分最上級クラスだな。
どうやらテルトナが言っていた『七大天使』の一人のようだ。
「ふん、私にかかれば、部隊長クラスなら余裕です」
「ほう、言ってくれますね。それで私にすら勝てなかったらみっともないですよ?」
ミューは自分が眼中に入ってないことに対し、憤慨しているようだ。
「そんなことはあり得ません。なんせ、私ですから」
どうやら結構な自信があるようだ。
「ユークリート、お前はこの僕がもう一度地に顔をつかせてやろう」
「ふん!あの頃の私とは違うのだ。今の私は先程倒した魔王軍第六部隊隊長『忌避侵攻のリヴァイア』でさえ敵で無いのだ。さあ、正々堂々、一対一で勝負だ」
「その鼻、この僕が折って差し上げようじゃないか」
そう言いつつ、二人は上の層ーー第十階層に消えていった。
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「さて、それじゃあ始めるとする」
紫のマントを靡かせている優男ーーユークリートがそう言う。
「剣を抜け、スシュロス」
スシュロスは言われた通りに左の腰に挿していた愛剣を抜く。
この剣は持ち手部分に赤いテーピングがしてあり、柄は世界一硬いと名高い『アダマンタイト』を使用。
刀身は、自分の身丈の半分くらいの長さで、『黒紫竜』と呼ばれるドラゴンの鱗が使われ、魔力を流せば鋭利度が変わるという業物だ。
それに対するユークリートの剣は、ユークリーデ王国の紋章が柄に彫られた、スシュロスの愛剣よりも少し長いレイピアだ。
リーチと連撃速度はユークリートが上、一撃ごとのパワーと剣の鋭利度はスシュロスが上。
互いに互いの有利な点、不利な点を持ち合わせている。
勇者であるユークリートを白と置くならば、悪魔であるスシュロスは黒であろう。
そして、今ここに、白黒はっきりつける戦いが始まる。
「………ハッ!」
最初に仕掛けたのはユークリートだった。
勇者であるユークリートの突きは、例えどんな金属でも突き破るほどである。
「ムダだ」
スシュロスは魔力を剣に捻じ込め、ユークリートの突きを弾く。
そのまま横からユークリートを襲うが……
「それはこっちのセリフだ」
空中を蹴って、スシュロスの攻撃範囲を逃れたと思ったら、また素早く突きを繰り出す。
その攻防は、息つく暇もなく、優に三十分続いた。
「くっ……鬱陶しい……」
スシュロスはこの攻防を30分ほど続けて、流石に疲れが表に出てしまっていた。
「ふっ!チャンスだ!」
「くっ!なんの!」
少しずつスシュロスに隙が出るようになっていた。
「どうだ?疲れたろう?ちなみに私はまだまだ準備運動くらいだぞ?
ふっ……過去の私よ、復讐は遂げられる……これで終わりだ」
ユークリートは更に強き突きを繰り出す。
その威力にスシュロスはたじろぎ、ユークリートは空いていた左肩にレイピアを突き刺す。
「ぐあっ……!」
スシュロスは左肩に風穴が空いてしまった。
「フハハハ、どうだ!痛いか!これが我ら、人間の力だ!」
「……お前如きが人間の代表ってか……?くだらん」
「王子にして勇者!これを人間の代表と言わずなんだと言うのだ?」
「そうだな……お前はせいぜい僕に負けた烙印を押されたまま、恥ずかしく生きているのがお似合いだと思うが」
「きっ、貴様、減らず口を」
ユークリートはスシュロスを更に突き刺す。
肘、太もも、足、腹。
レイピアは細いため致命傷になりにくい。
そのためユークリートはわざと急所を外し相手に痛みを味あわせる。
「それで満足か?」
「……なんだと?」
スシュロスの発する言葉をユークリートは理解できなかった。
過去にスシュロスに倒された記憶、それはいつだってユークリートの精神を蝕んで来た。
その記憶が浮かび上がってくるたび、ユークリートは何かに追い詰められている気持ちになった。
「じゃあ、次はこっちの番だ」
スシュロスが言う。
ユークリートにはこの場面で、トドメを刺さなかったことをその後後悔することであろう。
スシュロスが魔王軍第九部隊隊長にまで上り詰めた所以、それは単に剣技が上だという理由だけではない。
「『竜剣流奥義』ーー『一閃』」
スシュロスが剣を横に振る。
そして、第七守護塔の第十階層に一本の線ができた。
ベン「次回予告!」
ミカエル「ミュー&ベンVSミカエルです」
スシュロス「あれ?僕たちの続きは?」
ミュー「後回しです」
ユークリート「そんな……進展早過ぎだろう」
作者「いやね、そろそろアルテたち魔王城メンバー達の出番も出そうと思ってるし、それにただでさえ一話一話が短いから、トントン拍子で話進めないといけなくなっちゃうんだよ」
ルネ「あ、そうそう、近々、私の出番があるらしいですよ。しかも私メインで」
作者「あー、ルネ視点ね。一応考えてるけどやるかどうかは不明だよ?」
ルネ「絶対やってください」
ミュー「そんなことより!次回更新は2/1です!ブックマーク、高評価、コメント、質問等よろしくお願いします!」