12.異常報告と漆黒斬
1日遅れました。
すいません。
「それでは、第5380回、部隊長定例会議の始まりじゃ」
『ウェェェェイ!』
『ピーピョロロピー!』
これって毎回やってるのかな?
前回は参加者少なかったけどハードパルドが必死に一人でやっててすごく笑った記憶がある。
埋まっている席は席番号が『0』、『2』、『3』、『4』、『5』、そして『9』だ。
妹とはもう50年以上会っていないのだが、連絡すら来ないんだよね……
え?後書き?なんのことやら…
はぁ…やっぱりこんな怠慢な兄貴のことなんか嫌いになっちゃったのかなぁ……?
あの子ーールネは僕たちがまだ子どもの頃……といっても悪魔の成長は遅いからあれだから50歳くらいだけど、その頃までは僕のうしろをぴょこぴょこ付いてきたはずなんだけどね…
「んあぁ?どうしたベン?なに寂しそうにしてんだぁ?」
僕の目の前の席ーー『5』の席に座るハードパルドが話しかけてきた。
相変わらずガタイがいいよな。
客観的に中肉中背な僕としては、羨ましい限りだ。
「ん?あぁ、いや、なんでもないよ。ただ、妹にここ半世紀は会ってないから、ちょっと寂しいかなって」
世紀という単位を軽々口にするのは長寿な種族の特権のようなものだ。
僕はつくづくそう思う。
……でも、人間は1世紀も生きられないなんて、なんて脆弱な種族なんだろうか。
その代わり、絶対数は圧倒的に多いからその分プラマイゼロなのかな?
「あぁ、ルネちゃんのことかぁ」
この筋肉ムキムキのハードボイルドなおっさんにちゃん付けされるのはちょっと辛いな……ルネ……
そんな感じで雑談と笑いが集まる大会議室の中に、一瞬の静寂が訪れた。
『バンッ!』
扉が勢いよく開かれる。
そしてそこに立っていたのは…
「どうしたんだい⁉︎リヴァ⁉︎そんな満身創痍で!」
最初に声をあげたのは扉から最も近いスティアだった。
入ってきた人物はリヴァイア・サン・シルカ。
魔王軍第六部隊隊長だ。
彼女は二年前に遠征に行き、魔王軍領の拡大に努めていたのだが……
「ハァ…ハァ……第七守護塔が占拠された」
その報告は、みんなの動揺を引き出すには十分過ぎた。
彼女は遠征にて第七守護塔を本拠地にしていた。
その第七守護塔が占拠され、なおかつリヴァイアのこの状態を見るに、彼女が戦闘にて敗北、命からがら逃げ出したと考えるべきだろう。
「して、相手は?」
動じない目と落ち着いた雰囲気を纏ったアルちゃん……魔王様が的確な質問を寄せる。
こういうことができるからこそアルテは魔王として素晴らしいのだ。
「確かアイツは……『女神ナハルネの勇者 ユークリート』と名乗っておりました」
「ユークリートだと……」
まさか勇者の登場か……それにしても女神ナハルトといえば、傲慢でプライドの高いビッチだとテルトナから聞いていたが……まさか彼女の持つ勇者がリヴァイアに勝つほどの実力があるとは……
その事に驚いていると、『9』の席に座るスシュロスが何やら知っている風のコメントを出した。
「なんじゃ?知っておるのか?スシュロス」
「はい。……実は三年前、人間界に進出した頃、彼と遭遇したのです」
「………うむ、確かに三年前、お主を人間界まで向かわせたことがあったのう」
「そうなんだ…じゃあ、スシュロスもソイツに負けたの?」
スティアが聞く。
コイツはいつもなんだか人に敬意を払ってないというか……ちょっと無礼なことを言うことが多々あるんだよね。
まぁ、聞いてる側からすれば聞きたいことをズバッと言ってくれるから、何かと便利なんだけど。
「いえ、その時は勝ちました。……確かに胸に剣を刺した記憶があるのですが……」
「仕留めきれなかったか、蘇生されたか、はたまた特別な能力なのか……」
僕はそう言う。
するとなんだかスシュロスに睨まれた気がした。
うむ……感情があまり鮮明でないな……
「仕留めきれなかったのはないと思います。僕は、はっきりと、その勇者の胸に、剣を刺しました」
こちらに振り向き強い口調で反論する。
感情が『怒り』に変わっている。
その感情はあまり好きじゃないんだけど……
「ふむ……奪還およびその勇者の殺害…できれば拘束がいいな」
魔王様がそう呟き
「よし、ベン。魔王として命じる。今すぐより第七守護塔を奪還し、その勇者を拘束し、妾の前に差し出すのじゃ!不可能であれば殺害でもよい」
「……えーーーーーーーー」
「ベンくーん?ミューに食事作らせないように命令するよ?」
「ハイわかりました今すぐ行ってきますのでそれだけはやめて下さい」
魔王かこの魔王……魔王だった。
僕がこの城に軟禁されている以上、感情を糧とできず、直接口から栄養分を摂取しなければならない。
あぁ……ちょっとした絶望感さえ他人から徴収できれば、それで一月は持つというのに……非効率だよ……
「ちょっと待ってください、元はといえば僕が勇者をそのまま放置したことが劣点だったのです。なので、その詫びとして、僕に倒させて下さい!」
スシュロスがそう抗議した。
まぁそりゃそうだよね。
自分の尻くらい、自分で拭かなきゃ男じゃない。
ましてやそのせいで女の子が一人傷ついたんだから。
「うむ……ならばベンはスシュロスに同行するという形を取る。ベンはスシュロスにあまり手出しはしないように。兵は第九部隊のを自由に連れて行け。あと、第零部隊のミューも」
「わかりました」
「かしこまりました」
そう応答し、今回の部隊長定例会議は終わった。
去り際に、リヴァイアから『気をつけろ、勇者はアタイでも勝てなかった野郎だ』という言葉をもらった。
あ、これ久々に絶望を摂取できるんじゃない?
ドキドキワクワクだわ〜。
作者「第一回!『〜ネタバレ注意⁉︎〜質問コーナー』!!」
ベン「栄光ある今回の質問は、
Q:この世界における強さの階級と主人公達がどの辺りなのか。
及び普通の人やモンスターなどの位置はどうなっているのか
だね」
スシュロス「それでは作者さん、よろしくお願いします」
作者「承りました。回答させていただきます。
まず、強さの階級ですが、基本は神界の住民≧魔界の住民≧人間界の住民となります
あと、今出ている登場人物を『ネタバレなしの範囲で』並べるとすると、
ベン>アルテ>テルトナ≧神々>七大天使>天使≧レスティア(ヤンデレ化後)=スティアルカー>ミュー>悪魔=魔族>>>>>シャナ>一般的な人間
的な感じです。順位に変動があったりしますので、かなり不確定となりますが……」
ベン「へぇ……このランク付けは見なかったことにしておこう」
アルテ「まぁベンは本編では自分の強さにあまり気づいていないからのう…」
ハードパルド「あぁ?あともう一個質問があるみたいだぜぇ?
Q:ヤンデレ勇者ちゃんの話は何時ぞ?」
作者「えーっとですね、完全にヤンデレ化するのがベンの頭のレプリカ……『スカル・ベン』を拾ったあとなので、もう少しあとになるかも知れません。でも、ヤンデレ前のレスティア視点も書いてみようと思います」
スティア「ハイ終わりー!いつも通りの茶番ターイム!」
リヴァイア「じゃあアタイ気になったんだけどさ、リヴァイアサンって『嫉妬』を司る悪魔なんだよね。じゃあなんで『嫉妬』好みなのがスティアルカーなの?キャラ被るよ?」
作者「それについてはしっかりと説明は用意してある。でもそれはネタバレに繋がるからアカンよ」
リヴァイア「そう。ならいいけど……あ、そろそろ終わりだね。じゃあ、次回の更新は1/28です。どうぞ、お楽しみにー!」