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第36話 大富豪(それとも大貧民って呼んでる?)

「ううっ……父さん、母さん……」


「リリス、起きろ。おい、リリス!」

 レズビアの声が聞こえてくる。


「むにゃ?」

 僕は目を覚まして、目をこする。

 めっちゃ目やについてる。


「おい、朝だぞ。起きろ」

 レズビアが僕の肩に手をかけていた。


「わああああ!」

 僕は慌ててレズビアから飛びのく。


「な、何だその反応は」


「えっと、レズビア、何もしてこないの?」


「尻を剥いて叩こうとしたが、リリスが泣いていたから、やめたのだ」


「僕、泣いてた? てか、何やろうとしてたんだよ……」


「リリス、さっさと顔を洗ってこい」



   ※   ※   ※



 じょろじょろじょろじょろじょろじょろじょろじょろ……。


 僕はトイレでおしっこしている。もうトイレにも慣れてしまった。


 今日はレズビアに、寝起きに攻撃されずに済んだな。

 もしかして、毎日泣いてれば、レズビアに乳揉まれたり、尻尾引っ張られたり、角削られたり、ケツ叩かれずに済む?


 じょろじょろじょろ……じょろ……じょろ。


 ……はぁ。父さんと母さん今頃何してるかな。

 この時間なら、父さんはもう仕事に行って、母さんはワイドショー見てるかな。ペロンチョ界では今どんなことが起こってるんだろう。最近きな臭いことも多いし。


 もしかしたら、浦島太郎みたいに何十年も過ぎていたりして……。

 そんなことは考えないようにしよう。


 とにかく、明日の舞踏会楽しむことにしよう。


 僕は意気揚々とトイレの個室から出た。


 ううっ……せっかくレズビアに攻撃されずに済んだのに、トイレのドアに尻尾挟んだ。



   ※   ※   ※


 

 僕とレズビアで部屋を出るとき、ちょうどアルビンと会った。


「アルビン、おはよう」


「お、おう」


「一緒に学校行く?」


「「なんでこいつなんかと一緒に……」」

 アルビンとレズビアが、お互いを見ながら、同じタイミングで言った。


「やっぱりレズビアとアルビンって、仲いいんだね~」


「おい、リリス、乳もぎ取るぞ」


「ひえっ……」

 僕の乳、果物とかじゃないからもぎ取れないですよ。

「でも、行き先同じだし」


「勝手についてくればいい」


「お前らが俺のあとを勝手についてくるんだ」


「と、とりあえず、一緒に行くってことでいいんだよね?」


「面倒だから、もう何でもいい」

 アルビンが歩き出す。

「そうそう、お前ら、明日の舞踏会に出るんだってな」


「誰から聞いたんだ?」


「カーミラから聞いたんだ」


「あのチスイコウモリ、口が軽いな」


「でも、別に秘密にしておくことじゃないし」

 と、僕は言う。


「たしかにそうだが」


「まあ、俺も出るんだけどな」


「そういえば、貴族とかって言ってたね。レズビアと一緒に踊るの?」


「「誰がこいつなんかと一緒に……」」


「やっぱ仲いいんじゃん」



   ※   ※   ※


 

 その日の放課後――


 カーミラが僕とレズビアのところに来て、

「ねえねえ、リリスちゃん、レズビィちゃん、今日はあたしとスーちゃんの部屋に行こう?」


「えっと、寮の部屋ってこと?」


「そうそう」


「てか、ふたりってルームメイトだったの?」


「そうだよ、知らなかった?」


「うん、初耳」


「まあ、部屋けっこう汚いけどねっ」


「だいたい汚しているのは、カーミラよね……」

 スウィングが呆れたように言う。


「えへへ」


「誰も褒めてないわよ!」


 

   ※   ※   ※



 そんなこんなで、僕とレズビアは、カーミラとスウィングに誘われて魔界学園の女子寮に行くことになった。


 おお、周りは女子ばっかだ。なんかすごく女の子のにおいが充満している。

 ただ、洗濯物がそこらじゅうに干してあったり、ベランダに干からびた鉢植えが置いてあったり、ゴミが散らかってたりと、生活感がすごい。


 五階のいちばん端の部屋が、カーミラとスウィングの部屋だった。


 ドアを開けると――


 マジで散らかってるし。

 

 空いたペットボトルとか、雑誌とか漫画が床に散乱しているし、靴下とかブラジャーがベッドのへりからぶらーんと垂れ下がっている。


「ちょっと散らかってるけどねっ。ささ、入って入って」

 カーミラが嬉しそうに言う。


「ちょっとどころではないだろ」

 レズビアがやれやれといったふうに言う。


 彼女たちの部屋はとても狭く、四体が入るとかなり窮屈だった。


 中央に背の低いテーブルがあって、右側に二段ベッド、左側にはふたつの机、奥にはタンスがあった。


「リリスちゃんと、レズビィちゃんはそこに座ってね」

 と、カーミラはベッドを指す。


 僕とレズビアは、そこに腰掛けた。カーミラとスウィングは床に座る。


「リリス、その乳じゃまよ。かなりの空間占有してるじゃないの」


「そんなこと言ったって、しょうがないじゃないか」


「リリスちゃん、スーちゃんって、そこのタンスでモヤシ育ててるんだよ」


「余計な情報伝えなくていいわよ!」


「あとでオキュラちゃんとテレちゃんも来るって」

 カーミラがスマホを見ながら言う。


「ここに入らないわよね」


「大丈夫、大丈夫」

 と、カーミラは呑気な調子で言う。

「お菓子買ってきたからね。みんなで食べよう? 舞踏会前の前夜パーリーしよ」


 カーミラは袋をごそごそとやって、謎のお菓子を広げる。


「これは、リリスちゃんのための触手チップス」


「ちょっとトラウマが……」


 触手モンスターに苗床にされそうになった記憶がよみがえってくる……。


「あ、そうそう、みんなで大富豪やろうよ」

 と、言って、カーミラがトランプを取り出し、カードをシャッフルする。


「大富豪?」

 世界中で同じような遊びがあるって聞いたことあるけど、魔界にもあるんだ。


「皮肉な名前だな」

 と、言って、レズビアがスウィングを見る。


「何よ、下剋上してやるから、覚悟しなさい」

 スウィングは立ち上がり、レズビアをびしぃっと指差した。


 カーミラがみんなにトランプを順々に配っていく。


「これ、なんか違くね?」

 トランプを見ると、謎のマークがついている。しかも数が多いし。


「あ、リリスちゃん、知らないの?」


「ま、まあ……」


「えっとね、『翼』、『尻尾』、『角』、『目玉』の4種類のマークがあって、それで数は20まであるんだよ。それで大富豪は、いちばん強いカードが2で……」

 カーミラが説明してくれる。

「あと、ルールは、革命、絶対王政、階級闘争、クーデター、暗殺、亡命、粛清、中間搾取、植民統治、強制労働ね」


「なんか物々しいな……。てか、僕、それわかんないんだけど」


「やりながら私が教える」

 と、レズビアが言ってくれる。


「そうね、罰ゲームは何にしましょうか?」


「一枚ずつ身に着けているものを脱ぐっていうのはどうだ?」


「いいわ。身ぐるみ剥いでやるわ」


「ちょっと待って。僕がいちばん不利だよね?」


「別にいいじゃないの。淫魔族なんだし」


「よくねーよ」


「じゃあ、始めようか」

 と、カーミラが宣言する。


「マジでそれで始めちゃうの!?」


 数ゲーム後――


「ううっ、だから不利だって言ったじゃん……何なんだよ、階級闘争って」

 僕は下着姿になっていた。


「さ、さすがにリリスがかわいそうだ」


「そ、そうね。次からはリリスが脱ぐのは免除にしましょ」


「リリスちゃん、ごめんね」


「いいよいいよ、これからは三体のうちの誰かが脱ぐんでしょ? めっちゃ視姦してやるから。それにもうこのゲームに慣れてきたからね。覚悟しとけよ」


 そのとき、こんこんとドアが叩かれ、オキュラとテレーズが入ってきた。


「オキュラちゃん、テレちゃん、待ってたよ。座って座って」

 と、カーミラがふたりを部屋に入れる。


「これ、座れないわよね……それに、部屋すごく散らかってるわね……。あと、リリスさん、何で脱いでるの?」


「リリスは脱ぎたがりだからな」


「違うからね」


「ああ、私はどうして1分の1のスケールなのでしょう。小さな人形だったら、みなさんのお邪魔にならずに済んだのに……。ああ、せめて私の手足を外してください……」


「テレちゃん、大丈夫だって。二階席もあるし」

 カーミラは二段ベッドの上を指す。


「ああ、そんな特等席なんて、私には分不相応です。私はゴミ箱の中でも……」


「テレーズ、いいかげんに入りましょ?」

 オキュラが呆れた様子で言う。

 

 そして、ようやっとオキュラとテレーズが二段ベッドの上に座る。


「じゃあ、今度はみんなで古今東西ゲームやろう!」


 えっと、大富豪は……?

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