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第14話 シャンプー(どうして人にやってもらうと気持ちいいんだろ)

「リリスは女の身体について初心者だからな。今日は特別に私がリリスを洗ってやろう」


「別にいいから。自分で洗うから」


「そう言うな」

 レズビアは、僕の肩をつかんで、無理やり風呂椅子に座らせる。

 僕の長い髪は床につきそうなくらいだ。


 背後にはレズビアが立っている。

 ちょっと怖いんだけど……。

 僕は尻尾をぴーんとさせる。


 目の前には鏡があって、でっかいおっぱいとピンク色の乳首が映っている。

 アダルトビデオだったら万々歳なんだけど、これって現実で自分の身体なんだよね……。


「姉さんはあんなことを言っていたが、仲良くするとかそういうのはないからな。私とリリスはあくまでも主人とメイドの関係だ」


「あくまでもって、ダジャレ?」


「くだらないことを言うな」

 レズビアは僕に冷たいシャワーを浴びせてきた。


「ひゃん!」


「ずいぶんとかわいい反応だな」


「くっ……」

 こいつ、僕をおもちゃにする気満々だな。


 シャワーの水は徐々に温かくなった。

 お湯は僕の長いピンク色の髪の毛をさらさらと伝って、流れてゆく。

 また、前髪から垂れたお湯は、胸の谷間に入っていき、まるで小さな泉のように水が溜まる。


 わしゃっ。


 レズビアは僕の頭を両手で抱え込んで、わしわしと僕の髪を洗う。

 僕は目をつむって、レズビアが髪を洗うのに任せる。


 どうして自分で髪を洗うときは別にそんなに気持ちよくは感じないのに、美容院とかでひとに洗われると気持ちいいんだろう。


「髪が長いから時間がかかるな」

 レズビアは僕の頭をシャンプーで洗うと、今度は髪を両手で撫でるようにして洗ってゆく。


「短く切っちゃってもいいかな」

 この髪、たしかに長すぎて邪魔だ。


 もうけっこうな時間洗われつづけている。

 自分で洗うのは億劫そうだ。


「ダメだ」


「何で?」


「私の趣味だ」


「そんなあ」


「このピンクの髪はとても美しい。短くするのはもったいない」

 

 たしかにこのピンク色の髪の毛は、きらきらと透き通っていて、宝石のようにきれいだ。

 でも、厄介なことは厄介だ。


「あと、角もきれいに洗わないといけないな」

 レズビアはブラシのようなもので角をごしごしと洗う。

「間にごみがたまったりするからな」


「この角って何の意味があるんだろう。動物の雄なら、雄どおしで雌を争うためにあるんだろうけど」


「たしかに私たちは雌だし、そういう使い方はしないな。両手を使いたいときにものを引っ掛けたりする。ハンカチとポーチとか傘とか赤鉛筆とか」


「たしかに便利そうだけど」

 なんか見た目は滑稽だな。


「あと、人間共は、この角こそが悪のしるしとか、そんなことをのたまっている。それで悪を滅するだの、経験値を稼ぐだのなんとかと言って、魔族を殺しまくる。狩った魔族の角を戦利品なんかにしているようだ」


「ひえっ、そんな残酷な。でもカーミラには角はついてないけど」


「ああ、もちろん角のない魔族もいる。人間共が言っていることはでたらめだ」


「でも、僕も元は人間なんだし、何とか話したりできないかな……」


「ペロンチョ界の人間とは別だと考えたほうがいい。人間だからと言って絶対に気を許してはいけない。特に淫魔族の女の母乳は媚薬の材料になるらしく、人間共は淫魔族の女を拉致して、牧場に連れていくらしい」


「ぼ、牧場ってまさか」


「死ぬまで母乳を搾り取られるらしい」


「ひっ、ひえぇ……」

 僕が思っているよりも、人界の人間っていうのは、そうとうやべーやつららしい(もしかしたらレズビアが盛ってる可能性もあるけれど)。


「大丈夫だ。もし人間共が来たとしても、リリスには指一本触れさせない。私がリリスを守って、リリスが私の世話をする。まさにご恩と奉公というやつだ」


「うん、人間が来たら、レズビア先生お願いします」

 僕は人間なのに、魔族として殺されるなんてまっぴらだ。

 殺されなくても、死ぬよりつらいことが待っているみたいだし。


 レズビアは僕の髪についたシャンプーを洗い流し、さらにリンスする。


 それで、次が問題だ。

 僕の柔肌が洗われるってわけだ。よりにもよってレズビアに。


 レズビアは手に石鹸をつけ、泡立てる。


「素手で洗うの?」


「ああ。タオルでごしごしやるよりもこっちのほうがいい」


「でも、それって、僕の身体をさ……じかに触っちゃうんでしょ……」


「何を恥ずかしがっているのだ? さっきリリスが女どおしだからとかなんとかと言っていただろう」


「それは裸を見られるとかの話でですね、素手で触れたりするのは……」

 って!

「ひゃあああああ!」


 いきなりレズビアはおっぱいを揉んできた。

 揉みしだいてきた。

 泡がおっぱいを包み込む。


 おっぱいは軟体動物のようにむにむにと動き回る。


「さっきからいきなりすぎるでしょ」


「もったいぶっても時間の無駄だ」


「でも、ちょ、ちょっと強いよ」


「ああ、悪い」

 レズビアは今度は優しく揉んでくる。


「あ、あんまりソフトタッチもその……ひゃっ!」


「注文が多いやつだ」


 しょうがないじゃん。敏感みたいだし。


 レズビアはおっぱいを洗い終えると、腰、お尻、足、尻尾、翼と洗ってゆく。


「さて、最後に……」

 レズビアは僕のお股を見つめる。


「ちょっと待って。そこは自分で洗うから」


「いや、遠慮をするな」


「え、遠慮とかじゃなくてですね」


 ひっ、ひゃあああああああああああ!


 ………

 ……

 …


「下の毛は剃るタイプか?」


「そんなこと言われてもわかんないから。男は普通剃らないからね」


「そういうものなのか」


「そういうもんだよ」

 レズビア、もしかしてパイパンの男がいると思ってるの?

 いや、まあ、探せばいるかもしれないけど……。


「ためしに剃ってみるのもいいかもしれない」


「やめて。剃んなくていいから」


「そっちのほうがエロいからか?」


「うん、それでいいよ。もう何でもいいよ。あ、そうそう、レズビアはどっちなの?」


「それはセクシャルハラスメントというやつだ」


「何でだよ。レズビアこそセクハラ、パワハラ、モラハラって、なんとかハラのデパートじゃないか」


「だから言ったろう? 調教というやつだと。まあ、今日はこれくらいで勘弁してやろう。どうだ? 気持ちよかっただろう?」


「疲れたよ」


「誰も突いてないぞ」


「そういう下ネタやめてほしいんだけど……」

 と、僕は呆れながら言う。しかし、僕にも策がある。

「じゃあ、次は僕の番だね」


「何が僕の番なのだ?」


「レズビアの身体を洗ってあげる」


「バカ、やめろ! この変態! 痴漢! 事案!」


 僕はイラっとしたけれど、それをおくびにも出さず、

「僕だけ洗ってもらうのは悪いからさ」


「どうせ変なこと考えているのだろう?」


「そんなことないって。髪の毛くらいは洗ってあげるよ。だって僕はレズビアのメイドだし」


「まあ、髪の毛くらいなら……」


「じゃあ、そこに座って」


「まあ、よかろう」

 レズビアは風呂椅子にちょこんと座る。


 普段大仰な態度を取っているけれど、こうしてレズビアの裸の背中を見ると、どうも小さく見える。

 なんか人形みたいでかわいいな。


 僕は手にシャンプーをつけ、レズビアの髪の毛を洗ってやる。


 わしわしわしわしわしわしわしわし……。

 そういえば、ひとの頭洗うのとか初めてだな。


 ……痛っ!


 レズビアの角が手に刺さった。

 ……やっぱこれ邪悪なもんだわ。


 髪の毛を洗い終え、リンスもする。

 あと、角も洗ってあげた。


 さて――


 僕は石鹸を手に取り、手のひらで泡立てる。


「おい、髪だけじゃないのか? 身体はいい」

 レズビアが振り返ってこようとする。


 すかさず僕は、レズビアの背中にむにゅりと自分のおっぱいを押し当てる。


「な、な、何をしているのだ」

 レズビアが焦ったような調子で言う。

「む、胸が背中に当たっているぞ」


「わざとだよ~」


「な、な、何!?」


 散々今までいじめられたわけだし、ちょっとくらいからかってやってもいいかなって。

 それに今は女の子の身体だけど、やっぱり僕の心は男のわけで、レズビアの裸を見て、ちょっと性的な欲望を覚えたというか、うまく説明できないけど、そんな感じ。


「もしかして、淫魔族の本能に目覚めてしまったのか? だが、私は女だ。そんな、やめろ……」


「だって僕は元々男だし」


「男だったら背中に乳房を押し当ててきたりはしない」


「レズビアってかわいいよね」


「か、か、かわいくなんかないからな」


「いや、かわいいって」


「や、やめろ」

 僕は後ろから抱きかかえるようにして、レズビアの小さな胸に両手で触れる。


 あ、柔らかい。

 ぺったんこのワンダーウォールだと思っていたけど、意外とあるかも。


「ひゃっ!」

 レズビアがかわいい声をあげる。


「レズビアもかわいい反応するじゃん」


「おい、貴様、何をしているのか、わかっているのか」

 彼女はわなわなと身体を震わせ、ばっと立ち上がる。

 

 わわわっ!


 僕はその勢いで弾き飛ばされ、ころんと床に転がる。


 レズビアは倒れている僕を見下ろし、

「おい、貴様、よくも私の胸を……」


「だ、だって、レズビアだって僕の胸めっちゃ揉んできたじゃん。これでおあいこだから」


「何がおあいこだ。まだ私の調教が足りないみたいだな」

 レズビアは悪魔的な笑みを浮かべる。


「ちょっと待って。暴力反対」


「暴力は行使しないさ。私はメイドに対して優しいからな」

 レズビアは僕に覆いかぶさってきた。

 彼女の顔が僕の間近にある。


「ひっ……。ごめん、ごめんて」


 レズビアは僕の耳元で、

「そんなにこのデカ乳をいじめられたいのか?」 

 と、言うと、僕の乳首を指で押してくる。


「ひゃっ、や、やめて……」


 そのとき、浴場の扉ががらがらがらと開かれた。


 僕とレズビアは、絡み合ったままそちらを向いた。


「あらあら、女の子どおしで……。そういうのもいいと思うわ」


 ――アネリアさんだった。


「ね、ね、ね、姉さん、こ、これは……違うの! 違うの!」


「ちょっと忘れ物を取りに来て、ふたりのエッチな声が聞こえたと思ったら……レズビア、あなた、名前のとおり……」


「姉さん、私たちはそんなことしてないの。これはその……」


「おじゃま虫は退散するわ。ふたりでごゆっくり」


 がらがらがらがら。


 扉が閉められた。

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