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第12話 お風呂に行こう(つまり自分の裸を見ちゃうってことだよね)

 例の監獄のような自分の部屋に着くと、さっそくベッドにダイブした。


 痛っ。


 おっぱいがぼよんとベッドに弾き返される。


 このベッド、硬ぇ……。

 しかも、蜘蛛が寝てたってことで、若干べとついている。


「おい、リリス、いきなり寝ようとするな」

 レズビアが入り口で呆れたような顔で言った。


「だって、疲れたし」


「風呂に入るぞ」


「入んないとダメ?」

 たしかに翼を一生懸命動かしたりして汗かいたけれど、もう疲れて面倒くさいんだけど。


「もしかしてお前普段あんまり風呂に入らないタイプの人間だったのか?」


「三日に一度くらいは入るけど」


「うわぁ……。今のお前は女の子なのだから、きちんと毎日入らないといけない。というか、男でも毎日入らないといけない」


「でも、今日はいいかなって」


「私がお前のその腐った性根を叩きなおしてやる」

 レズビアは僕のところに来て、僕の角をがっしりと両手でつかむと、僕の身体を無理やりベッドからはがしにかかる。


「痛っ。痛いって。角折れるから! 部位破壊されちゃうから!」

 僕は慌てて自分から起き上がる。


 くそぅ……。

 角だったり尻尾だったり、この身体弱点がいっぱいあるな。


「さて、風呂だ」


 あ、お風呂ってことは、自分のエロい全裸を見ちゃうってことだよね。


 あと、ついでにレズビアの身体も……。

 青い身体だから、そこまでエロい感じはしないかな。

 それに胸も小さいし。



   ※   ※   ※



 レズビアが渡してきた下着の上下は、ピンクのふりふりのついたやつだった。


「これ、僕のやつ……?」


「無論だ。私があらかじめ買っておいたやつだ」


「もうちょっとシンプルなやつとかないの? ちょっとかわいすぎるというか……」


「私の買ったものに文句をつけるな」


「えっと、そういえば、寝るときってブラジャーつけるものなの?」


「私はつけないが、リリスはつけたほうがいい。その大きさだからな」


「でも、寝るときくらいは締め付けから解放されたいなーって」


「垂れるぞ」


「何が?」


「もちろん、乳が、だ。形がくずれてヘチマみたいにびろーんと垂れ下がるらしいぞ」


「マジで?」

 胸のかたちにこだわるわけじゃないけど、さすがにヘチマみたいにびろーんと垂れ下がるのは困る。


「ああ、だからきちんとつけないといけない」


「まあ、わかったよ」


「あとは、これだ」

 レズビアは今度は寝巻きを投げてよこしてくる。

 

 僕はそれをキャッチし、

「ええと、これネグリジェってやつ?」

 ピンクの花柄で、これもやたらかわいいやつなんだけど。


「まあ、そうだな」


「僕のこと着せ替え人形みたいにしようとしてない?」


「よくわかったな」


「えー。マジで」


「生身の着せ替え人形とかちょうどいい娯楽だ」


「レズビアがかわいいの着てみればいいじゃん。けっこう似合うと思うよ」

 と、言って、僕はピンクのふりふりのついたネグリジェをレズビアの身体に当ててみる。


「似合わないだろう?」


「す、すごく似合うと思う」

 本当のことを言うと、レズビアの青い肌とピンクのネグリジェはすごく不釣合いだった。


「私はこれでいい」

 レズビアは、黒のローブのような寝巻きを僕に示した。

 たしかにそれが似合うかもしれないけど、本当はピンクのふりふりのやつとか着たいんじゃないの?

 寝るときとか僕くらいしか見ないんだし、着てみればいいじゃん、なんてことを思ったけど、口には出さないでおく。



   ※   ※   ※



 部屋を出て、階下に下り、それから魔王城の外に出た。

 

 魔王城の庭には、キマイラとか触手モンスターとかの形をした、気色悪いトピアリーが夜闇の中で待ち構えていた。

 なんかセンス悪いな。さすが魔王の城。


 その庭を右に見つつ、歩道を歩き、魔王城に隣接している建物の前に到着した。

 その建物には長い煙突がついていた。


 入り口の暖簾には「魔の湯」と書かれている。


「これ、銭湯じゃん!」


「7番目の兄が銭湯マニアで、自分で作ってしまったというわけだ。今では、魔王城の居住者がよく利用している」


「なんか世界観壊れる」


「魔界だからな」


「そうかぁ、魔界だからかぁ」

 無理に納得するしかない。


 入ると、僕らのほかに利用者はいなく、カウンターにはメイドさんがいた。


 ビクトリア朝ふうのクラシックなメイド服を着ている。


 顔は美人だったけど、髪の毛が全部白いヘビだった。

 いわゆるメドゥーサってやつ?


 やばっ、顔見ちゃった。石にされる。


 もう遅いかもしれないけど、さっと顔を背ける。


 てか、またまた世界観壊れるね。

 まあ、僕もメイドなんだけど。


「レズビア様、新しいメイドさんですか?」

 と、メドゥーサのメイドさんが言う。


「そうだ。リリスという淫魔族だ」


「私はここを管理している蛇髪魔族のメイドのメルビーと申します。リリスさん、よろしくお願いしますね」


「は、はい。よ、よろしくです」


「淫魔族のメイドさんなんて珍しいですね。淫魔族は奔放な性格の方が多いと聞きます」


「たしかにリリスも割りと奔放だな」


「どこがだよ。めっちゃ従順だし」


「ところで、何でリリスさんはさっきからそっぽを向いているんですか? ひとりあっち向いてホイですか?」


「そんな変な遊びをしているんじゃなくて、その……石にされるんじゃないかって……」


「ああ、それなら大丈夫ですよ。私はわるーい子しか石にしたりしませんから。あ、リリスさんはわるーい子なんですか?」


「ち、違います。僕はわるーい子なんかじゃありません」


「それなら、こっちを向いてください」


「はい」

 僕は慌てて、メルビーさんのことを見る。


 ふぅ……。どうやら石にされる心配はないようだ。


「あら、とてもかわいらしい」


「ど、どうもです」


「お人形さんみたいに、色々なお洋服着せてあげたいですね。あ、あと、ツインテールとかも似合いそうですね」


 メルビーさんもひとのことを着せ替え人形みたいにしてこようとするのか。


 でも、ツインテールか……。

 どうかな。僕は自分のツインテール姿を想像する。

 カーミラみたいな子がいちばん似合うよなー。

 あんまりグラマーな子はちょっと似合わないかも。


「私はメイドの先輩ですから、わからないことがあったら何でも聞いてくださいね」


「はい」

 どうやらメルビーさんはいい人(魔族)そうだ。

 もしかしたら僕の味方になってくれるかも。

 わるーい子を石に変えてしまうっていうのがちょっと気になるけれど。


「さて、リリスのエローい肉体のお披露目といこうか」

 と、レズビアがにやけながら言う。


 何だよ、その言い方。


「リリスさんはエローい子なんですね。さすがは淫魔族さんですね」


 はぁ……。

 エロいエロい言われてもまったく嬉しくないんだけど。

 女子のみなさんは嬉しいんですかね。

 そこんとこどうなんですか。

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