表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/41

第1話 魔界へようこそ(って、言われても喜べないんだけど)

 二日酔いの身体で、ふらふらと津田沼駅前を歩いていた。

 頭が痛い。腰も痛い。漫喫のソファ席なんかに泊まったからだ。

 もうお昼頃だろうか。雑踏を行き交う人たちは元気そうだ。


 ああ、燦燦と輝く太陽が眩しい。

 すっごく眩しい。

 超眩しい。

 尋常じゃないくらい眩しい。


 いやいやいや、これ眩しすぎるよ。

 何これ何これ。

 ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って。


 まぶっ、まぶっ!

 まぶまぶまぶまぶまぶっ!


 うおっ、まぶしっ!

 

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …


「成功だ。これで我々も救われる」

 どっかから声が聞こえてきた。

 まわりは真っ白だ。何も見えない、何も聞こえ……いや、聞こえはしたな。


 てか、ここはいったい……。


 霧が晴れるように徐々に視界が開けてくる。

 すると――


 目の前に少女が立っていた。


 ただ、普通の人間とは明らかに違う。

 顔色がものすごく悪そうだった。

 めっちゃ青い。尋常じゃないくらい青い。

 さらに、顔だけじゃなくて、ほかの肌も青い。

 そのうえ、髪の毛は紺色だ。

 病気ってレベルじゃない。


 しかも、頭に角が生えている。黒くて尖ったやつだ。

 彼女は黒いローブを着ていて、手にはでっかいフォークみたいなやつを持っている。


 悪魔? うん、悪魔としか言いようがない。


「ようこそ、魔界へ」

 と、その少女が言った。口から鋭い牙が覗く。


 ほら、やっぱり「魔界」とか言ってるし、絶対悪魔でしょ。

 何これ? 悪い夢? 昨日の酔いがまだ残ってんの?


「状況が把握できないのも無理はない」

 再び悪魔っぽい少女が口を開く。


「えっと、君は……?」

 そう言いかけたとき、自分の声にものすごい違和感を覚えた。

 女の子みたいなすっごくかわいい声になってる。

 人気アイドル声優みたいなちょっと幼い感じもする甘い声。

 この声でカラオケとか歌ったらめっちゃ楽しそう。


 ……って、そんなこと考えてる場合じゃない。


「うっ、うん」

 軽く咳払いする。

 あ、やっぱりかわいい声だ。

 ちょっとエロい感じにもなっちゃってる。


 何これ何これ。わけわかんないんだけど。


 青肌の悪魔少女は不敵な笑みを浮かべながら、

「そうだな、まずは自分の身体を見てみるがいい」

 と、僕を指差す。


 僕の身体?


 ふむ。視線を自分の胸元のほうにもっていく。


 そこには白っぽく輝く、ふたつの大きなふくらみがあった。

 そのメロンみたいなでっかいふくらみは、黒い布に包まれている。


 何だろう? おっぱいかな?


 僕、男だし、おっぱいなんてあるはずないんだけど。

 じゃあ、何ですかね? 虫刺され? にしては命に関わるレベルで腫れている。

 とりあえず、ためしにちょっと触ってみますか。


 ひゃああああああ!


 むにっ、むにっていった!

 やわっ! やわらかっ!


 これおっぱいだわ。童貞だからおっぱいなんて触ったことないけど、これおっぱいだわ。

 せっかくだからもうちょっと触って……いや、揉んでみよう。


 ひゃっ、ひゃっ! 

 あ、ああ……あふぅ……。


 エロい声が口からこぼれでる。

 ああ、何? この感覚は。


 いやいや、こんなことをしている場合じゃない。


 あ、あと、さらに言うとですね、男の「大事なもの」がついている感覚もないみたいですね。


 以上の情報をもとに総括してみると――


「お、女の子の身体になってる?」

 僕は自分の声の恥ずかしさを我慢して言った。


「ご名答」

 悪魔少女が拍手する。


 やったね。何か景品とかもらえるかな。

 って、んなことどうでもいい。


 いったい何なんだよ! 

 このわけのわからない事態は!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ