表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2014年/短編まとめ

妥協彼女

作者: 文崎 美生

人生に妥協は必要です。


相談室の相談役でもある彼女の決め台詞。


クリッとした大きな瞳で相手をしっかり見つめて言う、その言葉は現実味しか帯びていなかった。


事実、彼女はこの短い人生で沢山のことを諦めてきた。


そして妥協して進んで来たのだ。


もっと頑張れば成績が上がろうとも、それまでと妥協してキープを選ぶ。


高校にしてもそうだ。


行きたいところがあったはずなのに、親の反対を押し切るなんてことはしなかった。


だから家から一番近い高校に通っている。


これからの進路においても彼女の答えは淡白だった。


無難に就職。


専門や大学は考えていない。


否、考えない。


それなりに有名な会社に勤めて、それなりの成果を出す。


それが彼女の未来予想図。


「私は、諦めろとも諦めるなとも言わないわよ。ただ、妥協のない人生はない。それだけは覚えといてね」


色々なことを達観したような彼女。


色々なことを諦めて、妥協を覚えて生きる。


そんなことしか出来なくなった彼女。


「あぁ、じゃ、それでいいです」


面倒だと投げ捨てて、自然と朽ちてゆく。


色褪せる世界で彼女は今日も諦めて妥協を繰り返す。


まるで夢を忘れた大人のように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ