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神の御許にて  作者: 日渡正太
第3話 神様と薄幸少女
39/41

STAGE 39

 週が明けて月曜日。


 俺が学校から戻って、いつものように教団本部に顔を出してみると、不登校女子中学生、金沢とも子ちゃんが落ち込んでいた。


 昨日、とも子ちゃんは、コーラス隊の井川さんから、

「お母さんのことを好きになれなくても、感謝の気持ちは持っていて欲しい」

 と諭され、何かそれなりに得心したような顔をしていた。


 その後、さらに井川さんから、

「感謝の印に、何かお母さんの為になることをしてあげよう」

 と提案され、何をするか、とも子ちゃんが考えた末、出した答えが「トイレ掃除」だった。


 「トイレ掃除」なら、普通はみんな嫌がることだから、代わりにやってあげれば、お母さんの役に立つ、というわけだった。


 そして家に帰ったとも子ちゃんは、さっそく井川さんとの約束を守るべく、

「トイレ掃除がしたい」

 とお母さんに言った。


 それに対するお母さんの反応は、こんな風だったらしい。


「あなたは何をバカなことを言ってるの!? あなたが今やらなくちゃいけないのは、そんなことじゃないでしょ!! ただでさえ勉強が遅れてるくせに、余計なことしてる暇なんかあると思ってるの!? いい加減にしなさい! どうしてあんたはいつもそうなの!! あんたと同じ歳の子は、みんな来年の受験に向けて頑張ってるのよ! あんたは何なの!? 自覚がないの!? 頭が悪いの!? お母さんを怒らせようとしてるの!? 本当にあんただけは……!!」


 こうして、お母さんから相当こっ酷く、長時間に渡って延々と叱られたとも子ちゃんは、その夜、

「悔しくて、悲しくて眠れなかった」

そうである。


 うーむ、さすがはあのお母さんだ。


 この案件のラスボスは、とも子ちゃん本人ではなく、あのお母さんであることはほぼはっきりしているが、なかなか手ごわそうだ。


 まあ、これも井川さん的に言えば、

「言っていることは間違っていても、とも子ちゃんを思う気持ちから出たこと」

 になるのだろうが……。


 そういうわけで、午後も遅く、とも子ちゃんは目を真っ赤に腫らしてこの教団本部にやって来た。


 しかも間の悪いことに、今日はコーラス隊が談話ロビーにいない。

 コーラス隊の面々だって、別に暇人というわけではない。


 みんなそれぞれ仕事を持っていたり、専業主婦だったりするわけで、毎日この談話ロビーで集まって、日がな一日おばさんトークに明け暮れているわけにも行かないのだ。


 とも子ちゃんは今朝家を出るとき、お母さんから、


「ちゃんとその井川さんという人に、『私はトイレ掃除なんかしたくありません。私にとって大事なのは勉強ですから、勉強がしたいです』と自分で言いなさい! お母さんに叱られたからじゃないのよ? あなた自身がしたいです、って言うのよ!」

 ときつく言われて来たそうだ。


「井川さんにそう言わないと、また叱られる……」

 と落ち込んでいるとも子ちゃん。


「うーん、それは言わないでいいんじゃないかな……?」

 俺はとりあえずとも子ちゃんを落ち着かせて、お母さんに電話をかけることにした。

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