表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の御許にて  作者: 日渡正太
第2話 神様と迷える子羊達
38/41

STAGE 38

「あなたのお母さんはいろいろ間違ってると思う。あなたが嫌いになるのも当然よ。それが普通なの。あなたは何もおかしくないわ」


 とも子ちゃんは、井川さんの話を、じいっと黙って聞いていた。


「人間は誰も完璧じゃないの、私もあまりいい母親じゃなかったから、それはよくわかるわ、でもね……」


 井川さんは、娘さんと旦那さん、それに義理のご両親を、全て自殺で亡くしている。

 自分を除いて、家族全員が一家心中してしまい、1人だけ置いてけぼりにされたという、何と言っていいかわからないような経歴の持ち主だ。


「……でもね、あなたのご両親は、今日まであなたを産み、育ててくれた。お母さんはお腹を痛めてあなたを産んで、毎日ご飯を作ってくれて、来る日も来る日も、あなたのために……。お父さんは、一所懸命頑張って、働いて、あなたを養ってくれた。働くって本当に大変なことなのよ、あなたも大人になればわかるけど……。ねえ、どうして2人とも、そこまでしてくれたかわかる?」


 井川さんは、優しい笑みを浮かべて、尋ねた。


「わからない……」


 首を横に振るとも子ちゃん。


「それはね、あなたを愛していたから……。あなたのご両親は、間違ったことをしたかもしれない。あなたの希望とは違ったかもしれない。でもね、たとえ間違ってはいても、結果がよくなくても、それは全部あなたのことを思って、本当にあなたのために、良かれと思ってしたことなの。心からあなたを思う気持ちだけは本当なの。それだけは、わかってあげて」


 井川さんは真剣だった。


「……それでね、いつもあなたのために働いてくれているご両親に、たとえ嫌いでも、好きになれなくても、感謝の気持ちだけは持っていてあげて。これは私からのお願い」


 とも子ちゃんは、井川さんの過去なんて知らない。

 しかし、何か伝わるものがあったのだろうか。


「はい、わかりました……」

 コクッと頷いた。


 この愛宇宙教は、俗物の親父が金儲けのために作った、ろくでもない宗教団体だ。

 しかし、ほんの少しくらいは、いいところもあると思うし、ごくまれに誰かの役に立つことだってある。


 もちろん、それでいいとは思わない。

 だが、今はこれが俺の精一杯というやつだ。


「今は自分を磨きなさい」

「あなたは大丈夫だから」


 先日の別れ際、黒田さんの言ってくれた言葉が、なぜか強く心に響いている。


 とにかく、今は力を溜めよう。

 そして、いつか……。

「あらすじ」にも書きましたが、当作は「第20回講談社BOX-AiR新人賞」落選作品です。

「BOX-AiR新人賞」は連載作品の第1話、第2話と最終話までのシノプシスのみで応募する賞なので、新人賞応募原稿としてはここまでしかありません。


ここから先は「書き溜め」がないため、更新速度が大幅に落ちます。

大変申し訳ありませんが、ご容赦ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ