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神の御許にて  作者: 日渡正太
第2話 神様と迷える子羊達
37/41

STAGE 37

 この教団本部がある雑居ビルは、1階が何もないロビーで、2階がファミレスになっている。


 信者さんで、昼食を取るために、このファミレスを利用している人は結構多い。俺達が今向かっているのも、そこだった。


 ちなみに3階はソープランドである。


 うちの教団本部が入居する前からある店だが、一度、そこの店主が、

「おたくが同じビルに来てから、客足が増えました。いやあ、ご利益というのは、あるものですなあ!」

 と言って、お布施を持ってきたことがある。


 そうか、うちの本部が入居してから、ソープの客足が増えたのか……。

 行ってる奴、誰だよ!


 エレベーターが3階を通過する時、井川さんが、

「丈太ちゃんは、ここのお店、行ったことあるの?」

 と聞いてきた。


「ありませんよ!」

 と答えると、樺山さんや、富村さん達が口々に、


「そりゃあ、行ってても、行ったとは言えないでしょうよ!」

「そうよねえ!」

 などと言い出した。


「本当に行ってません!」

 と言うと、井川さんが、


「まあ、行ったとは言えないでしょうから……」

 と、ポンと肩を叩いてきた。


 高校生で風俗出入りしてる奴なんて、そうはいねえよ!


 とも子ちゃんは、顔を真っ赤にして、ひたすら、

「えーっ? えーっ?」

 と叫んでいた。


 とりあえず、ソープランドが何であるかは、わかるらしい。


 エレベーターが2階に着き、俺達はファミレスに入った。

 食事をしながら、井川さん達は、とも子ちゃんをコーラス隊に勧誘し始めた。


「あなた可愛いから、コーラス隊に入りなさいよ!」

「赤木さんとあなたが入ってくれれば、コーラス隊も若返るわね!」

「あら、あたし達だって若いわよ!」

「当然よ! そうよね、丈太ちゃん?」

「へっ?」

「へ、じゃないでしょ!!」


 勧誘された側のとも子ちゃんは、

「いっ、いいです!」

 と、顔を真っ赤にして、首を横に振っていた。


「ねえ、とも子ちゃん、あなた、お母さんのこと、嫌い?」

 不意に、井川さんがそんなことを尋ねた。


 とも子ちゃんは、一瞬きょとんとした後、うつむいて、コクッと首を縦に振っ

た。


「そう、お父さんのことは?」

「いつも家にいないから、わからない……」

 寂しそうに答える、とも子ちゃん。


「そう、それは辛いわね……でも、無理もないわね、あんなお母さんじゃ、私だっ

て、嫌いになるもの」


 井川さんの物言いに、とも子ちゃんはびっくりしたように、目を見開いている。

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