STAGE 21
談話ロビーを離れて、一般人向けの応接室に入ると、そこには40歳ぐらいのおばさんと、中学生ぐらいの女の子がいた。
「『愛の大宇宙エナジー教団』副教祖の沢村です」
俺が挨拶すると、おばさんは、
「まあ、さっきの方もだけど、ずいぶんお若いのねえ……」
と不安そうに言った。
やべ、本部長に来てもらったほうがよかったかな……。
「私はねえ、こんな宗教みたいなものに、関わりたくはないんですよ!」
話が本題に入ると、おばさんは不機嫌そうに声を張り上げた。
「だけど、この子がこんなんじゃ、どうしようもないでしょ? 病院では『病気じゃない』って言われるし、不登校児を持つ親の互助団体にも行ったけど、お金だけ取られて何の役にも立たないし!」
おばさんは忌々しそうに、隣にいる娘さんを睨んだ。
パーカーにジーンズ姿の娘さんは、うつむいて小さくなってしまっている。
「うちは、主人の勤め先もちゃんとしたところだし、私だって国立を出てるんですよ! 親戚にも心の病だなんて聞いたことがないのに、どうしてこの子だけこうなっちゃったんだか! ……あんたのことを言ってるのよ!」
突然、おばさんは、娘さんの膝をピシッと叩いた。
娘さんはビクッとして、体をこわばらせた。
ああ……これはアレだわ……。
俺もこんな仕事をしているせいで、引きこもりや不登校児のいる家庭というのは結構見てきたが、ここまでステレオタイプなのは珍しい。
あくまで俺の経験上だけの話だが、子供の不登校やニート、引きこもりの原因の半分以上は、親が厳格過ぎたり、過干渉だったりすることだ。
このタイプの親は「自分の子供はこうあって欲しい!」という明確すぎるビジョンを持っていて、子供がそこから逸脱することを許さないケースが多い。
しかし、現実には子供には個性があるから、親の思い通りには行かない。




