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神の御許にて  作者: 日渡正太
第2話 神様と迷える子羊達
19/41

STAGE 19

「あ、そうだ、副教祖、聞いてます? 御奉仕少女隊の件」

 六本木さんが思い出したように言った。


「俺の御奉仕隊ってやつ? やめてくれよ……」

 俺が頭を抱えると、


「教祖様の命令だから仕方ないですよ。あたし、いちおう担当者として、人選とか任されましたんで、希望とかあったら言ってくださいね」


「じゃあ、由里だけは入れないでくれます?」

「は? 桐原会長のお嬢さん? あたし絶対入れようと思ってたんですけど……」


「いや、マジでお願いします、あいつだけはやめて!」

「ケンカでもしたんですか?」


「そうじゃな……くもないけど、とにかくあいつだけはイヤ! 他は適当でいいから……って、まさか赤木さんとか入れないよね?」


「はあ……由里さんと赤木さんはNGですか、わかりました……んじゃ、あたし、談話ロビーのほう行きますんで!」

 六本木さんはそう言って、事務所を出て行った。


 六本木さんは元風俗嬢の前歴を持つ、若い出家信者である。

 どんな種類の風俗かというと、何でも「マニアックなお店」だそうで、何がどう「マニアック」なのかは不明だ。


 明るい色の茶髪のショートカットで、仕事中は法服を着ているのでわからないが、普段の服装も派手だ。


 しかし、社会不適合者の多い出家信者の中にあって、普通に仕事ができる人なので、そういう意味では貴重な人材である。


 六本木さんが出て行くのを見送ると、入れ違いに川原が事務所に入って来た。


「おい丈太……じゃねえ、副教祖様、ちょっといいですか?」

「何?」


「今、一般人の悩み事相談者が来てて、母親と娘さんの2人連れなんだけど、旦那さんが一流企業のお偉いさんだそうで……金持ってそうだからVIPとして対応したほうがいいかと思って、俺よりも副教祖か本部長に相手してもらいたいんですけど?」


「信者じゃなくて一般人? 入信しそう?」

「話を聞いてみて、良ければ、って言ってる」


「相談内容は?」

「娘さんの不登校だと」


「わかった、俺が行くわ」

 俺はそう言って一般人向けの応接室に向かった。

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