STAGE 15
「んじゃ俺、忙しいから、先行くわ」
川原がカバンをひょいと提げて、1人で先に下校しようとした。
川原は学校では俺とタメ口で話す。
同級生で敬語だったらおかしいから当たり前だ。
そして学校以外でも2人だけとか、由里と3人だけのときはやはりタメ口だ。
そういう関係である。
「待てよ、おまえも一緒にマック行こうぜ」
俺が帰ろうとする川原を呼び止めると、
「いや、俺、本部の仕事あるし……」
「そんなもん、俺もあるよ、今日も遅くなるし、少し腹ごしらえして行こうぜ」
「いや、でも……」
そう言って、由里のほうをチラッと見る。
どういうわけか川原は以前から、俺と由里がどこかへ寄り道をすると言うと、1人だけ先に帰ろうとすることが多い。
理由は不明だ。
そこで俺は、ガシッと川原と肩を組み、脇へ連れて行って、由里に聞こえないように尋ねた。
「なあ川原、俺、前から気になってたんだけど……」
「何が?」
「おまえって、実は由里と仲悪いの?」
「おまえって、実はバカなの?」
「バカって何だよ!」
「俺、由里ちゃんに同情するわ」
「はっきり言えよ、意味わかんねーだろ!?」
ちょっとムカついた俺は、大声で由里に尋ねた。
「なあ由里、マック行くの、川原も一緒でいいよな?」
「え? あ、ああ……うん……」
何てこった! 由里まで何か複雑そうな表情をしやがった!
これはいかん! 何が原因かはわからんが、2人の共通の友人として、こいつらを仲直りさせてやらんと……!