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神の御許にて  作者: 日渡正太
第1話 神様のお仕事
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STAGE 13

「副教祖様と本部長を前にして、こんなことを言うのもアレやけど、この本部はやり方が手ぬるいんとちゃいますか。ちょっと小耳に挟んだんやけど、この本部には在家信者のコーラスグループがあるそうでんな?」


 黒田さん達、おばさん5人組のことを言ってるんだろう。


 彼女達の活動は、最近コンサート会場に新聞の取材が来たりして、ちょっと有名になりつつある。

 もちろん、愛宇宙教とのつながりは隠しているのだが……。


「そのコーラス隊には、ちゃんと布教活動やら、グッズの営業やらはさせてまんのか? 聞いたとこやと、その連中、本部の許可も取らんと、勝手に自分らで福祉施設やらを回って、会場では愛宇宙教の『あ』の字も出さんそうやないか!」


「いや、豊原さん、あれは信者さん達のプライベートな趣味の集まりですから……」

 思わず俺が口を開くと、豊原支部長は興奮して怒鳴り始めた。


「副教祖様がそんなこと言うのはおかしいわ! 信者やったら、ステージの上で、愛宇宙教の素晴らしさとか、教祖様への感謝とか、そういうのをちゃんと客に伝えるべきでっしゃろ!? うちの支部やったら、きちんとやらせます! 教団のパンフレットとパワーグッズも運ばせて、コンサート会場で布教と即売会やらせますわ! 場所もこっちで決めたとこへ行かせて、ステージ上でしゃべることも決めたったらええ! 出家信者を2、3人つけて監督させたらええんや! 何で本部はそういうことを計画的にやらんと、在家信者の勝手にさせてるんでっか!? えらい損失や! こんなんで売り上げなんか上がるかいな!」


「本部には本部のやり方があります。黒田さん達コーラス隊には、自分達の思うとおりやってもらえばいいと僕は思ってます。それに、言っときますけど、あのおばさん達、出家信者の言うことなんか素直に聞くタマじゃありませんよ」 


 俺の言葉に豊原支部長は目を剥いて、

「副教祖様! やっぱり、あんたでは話にならんわ! そんなん子供の考えや! 教祖様に直談判します! 今は執務室でっか!?」


「そうですけど、御奉仕隊が一緒ですから、今は無理ですよ」

「む、そうでっか……」


 御奉仕隊と聞いて豊原支部長は一瞬黙り、


「しゃあない、そんならまた今度にしますわ。そやけど、ほんまにこの本部は甘々や! 俺にここを任せてくれたら、ひと月で収入3倍にしたるわ!」


 そう言いながら、ドスドスと足を踏み鳴らして帰って行った。

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