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この恋は一通のメールからはじまった  作者: 水溜まり
第一章『君が嫌い。』
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>『それは秘密。でもなんか気になったから送ってみた』



表情がやわらぐのが分かる。

秘密は気になるけど、それ以上にどこか嬉しかった。


すぐ返信しようと携帯をいじろうとした時母の事を思い出し顔を上げる

その顔はなにか物言いたげにニヤニヤとしていた。



「な~んだ。お姉ちゃんの方もなんだかんだで上手くやってるのね」



「ち、ちが…!」



反論しようとすれば母は椅子から立ち上がり、テーブルに放置されたままの食器を洗いに台所に向かう。

いいわね~、なんて鼻歌を口ずさむ母に私は眉をしかめるが、その顔は赤いかもしれない。




>『何が気になったの?』

>『これと言った理由はないんだけど、たまたま目に入ったんだ』



たまたま目に入った?

何を見て私のメアドが目に入ったんだろうか?

詳しく聞きたいけれどここは深く突っ込まない方が良い気がして私は別の話題に話を変える事にした。



>『そうなんだ。でもいきなり嫌いなんて来たからびっくりしたよ』




そう。最初に届いた『君が嫌い。』と言うメール。

最初このメールが届いた時は、あまりにも腹が立ちすぎて印象はマイナスだった。

今こうしてメールのやりとりしているのが不思議でたまらなくなる。




>『あのメールはごめん。八つ当たりだったんだ』

>『八つ当たり?』

>『そう。あまりにも苛ついててつい目に入った君にあんなメール送っちゃった』




八つ当たり。

その言葉にホッと息を吐いた。

やっぱりメールのやりとりをしていても最初のメールがあれじゃ、いくらたっても嫌われてるような気がしていた。

だからそれを謝ってもらい更に本音を言ってもらえると不安がなくなってくる。



>『そうだったんだ。安心した。』

>『うん、ホントごめんね。』




それからというもの、時間が経つのも忘れて私はずっとメールのやりとりをした。

母が「そろそろお昼にする?」と声をかけてくれるまで私は夢中で携帯ばっかいじってた。

慌てて時計をみれば12時を指しており、3時間近く自分がメールばっかしていたことにひどく驚く。


メールの会話はとても些細な事しか話していない。

それでもどこか嬉しくて、胸が暖かく充実していた。



お昼を食べてる間はポケットに携帯をしまっていたから、途中でバイブが振動した時は思わず食べていたうどんをむせてしまった。

すぐに見たかったけど、母に「行儀が悪い!」と注意されるのが目に見えていたので我慢してただ黙々とうどんをすすった。


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