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リビングのドアを開けると既に母親が朝食を食べ終えた形跡と、コーヒーの匂いが香っている
テーブルに座って朝のロードショーを見ながらコーヒーを飲んでいる母に私は声をかけた
「おはよー」
するとテレビから目線をこちらに移し、にっこりと笑みを浮かべておはよう、と返された。
「朝ごはんいる?」
「うんー。でも自分でやるからいいよ」
そう?と母は返しまた目線をテレビに戻すのを確認して私は台所にある冷蔵庫を開け、パンとバターを取り出した。
トースターにパンをセットしカップに飲み物を注ぎながら私はまた母に声をかける。
「そういえばさー、昨日悠李いなかったよね?」
「うん。昨日は友達の家に泊まるって言ってたわ~」
悠李とは私の一個下の同じ高校に通う弟のことで、最近休日になるとどこかに出かけてるようで弟の姿をあまり見ない。
中学までは割りと仲の良い姉弟だったが思春期なのか、最近はあまり喋らなくなったことに姉として少し切ない気持ちになる。
「ふーん。最近悠李家にいないこと多いね」
トースターから焼けたパンを取り出し冷蔵庫から昨日の残りだと思われるサラダを手に持ち母の向かい側のテーブルに座る。
母は目線こそテレビに向けたままだったがちゃんと話を聞いているらしく少し苦笑いをして「そうね。」と返した。
「でも、悠李のお友達と話したことあるけど、感じの良い子だったわよ~?」
「実は友達の家と言いながら彼女の家にいたりして~」
そう私が言えば母はこちらに視線を移し、キラキラとした笑みを浮かべながら興味深そうに私を見た。
思わずウッと身を引いてしまう。
「なになに?悠李ったら彼女出来たの??」
「や…。知らない…。」
そう返せばなんだ~つまんないの~。とがっかりした表情を浮かべたがまたすぐに元の表情に戻り今度は「お姉ちゃんの方はどうなの?」と聞いてくる。
それに対して私は言葉を詰まらせた。
口に出そうとした瞬間、ポケットの中の携帯が震える。
思わず携帯を手にとった私に母はまた興味深そうに今度はニタニタとした笑みをこちらに向けている。
ムッとしながら私は携帯をチェックした
>『それは秘密。でもなんか気になったから送ってみた』