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この恋は一通のメールからはじまった  作者: 水溜まり
第一章『君が嫌い。』
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2

ブーブーブーブー

「!」



オーディオから流れてる曲に混じって携帯のバイブ音が部屋に響き渡る。

メールを受信したのだとわかった。


恐る恐る携帯画面を開くと1通のメールが受信されたと思われるアイコンが表示されている。

見たいような、見たくないような。複雑な気持ちになりながら受信画面を開いた


そこには先程来たいたずら?メールのアドレスが表示されていた。




>『なんで?』



軽く目を見開き言葉を理解しようと頭を働かせる。

なんでって、嫌いな理由を聞いているのだろうか

だとしたら答えは簡単だ。



>『いきなり嫌いって言うし。』

文字を打っては考え直し、その度に一度文字を全部消すが、結局最初に打ったこの文を送ることにした



すると送信してから1分も経たぬ内にまた次のメールを受信した音が流れる。




>『じゃあ何で返信するの?』




確かに。


頬をひきつらせながら思わず苦笑いを浮かべる。

冷静に考えればこんなメール返さなければいい。

もしまたメールが届くのならば拒否リストに入れてしまえばいい。

なのにご丁寧に自分も嫌いだと返信している私はバカなのかもしれない。



どうしようかと悩むもの、下手に言い訳するよりは素直にそのまま送る方がいいと思いまた返信する。



>『確かに…。』



我ながらなんとも情けない。

最初に感じた恐い気持ちやムカツク気持ちはなくなり、やっぱりただのいたずらメールだったのだと思ったら少し恥ずかしくなった。



「いたずらメールに返信してるあたしってバカ…。」



思わず口にすればどうしようもない気持ちになり顔が火照ってくるのが分かる。

恥ずかしい。恥ずかしい。

自分がそんな気持ちになってるとは相手は果たして思っているのだろうか、携帯はまた振動し、存在を知らせる。




>『なにそれ。君って変な人だね』



変な人。捉え方によっては皮肉を言われてるのかと思うけれど何故かそうは思えなかった。

口元に少し笑みを浮かべまた返信する。

その後は相手も打ち解けてくれたのか、言葉に嫌味はなくなり普通にメールをやりとりするようになった。



>『変な私は嫌い?』

>『どうかな。よく分かんない』

>『じゃあ何が嫌いなの?』



そう返事すればそれまですぐにきたメールが途絶えてしまった。

時刻は0時を示している


もう寝てしまったのか、それとも自分とのやりとりに飽きてしまったのかもしれない。

少しためらいながら、携帯を閉じ充電器に差し込んで布団に入ることにした。



明日はメール来るかな?

そんな事を思いながら目を閉じた



それから暫くしてまたバイブが鳴ったような気がしたが、夢の中にいた私はそれに気づくことはなかった。

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