星空の下で受け取った願い
彼らの背中を見つめながら歩く。
そこにはひとつ、ぽつんのある望遠鏡。
周りには人が居なくてなんだが寂しそうに見えた。
「あと、30分ぐらいかな」
「結構、早めに来たんだね」
「うん、陸が寝坊して遅れたりしたら見れなかったしね」
「もしかして俺って信用されてなかった、、とか?」
「うん、昔っから」
うっそ~~~~~~~~~っと嘆く陸君にうそだよっという安斉君。
なんだかそのやりとりがおもしろくってついつい笑ってしまった。
それからしばらくして私たちは別々のことをし始めた。
「輝晴は空汰とどこで出会ったの?」
「へっ?!」
びっくりした。
今は地面の上で座りながら望遠鏡を眺めている安斉君を見ていた。
陸君が急に声をかけてきたことにもびっくりしたのだが気づいたら隣に座っていたことにもびっくりした。
しかも出会ったって・・・・・・・・・・・・
「えっと先日、図書室で本読んでたら『星好きなの?』って聞かれて」
「それで・・・・・・・・・出会ったのと同時に誘われたと言うわけか」
「その前に去年の夏の終わりに助けてもらったんだけど覚えてるかどうか分かんないや」
「そっか」
そのときの陸君の顔が何故か穏やか、でも切なさそうな顔をみた気がした。
望遠鏡を見ることをやめ、安斉君はこっちに来た。
「陸、あと何分?」
「んっと・・・・・おっあと10分切った」
「あと10分か」
そう呟いたあと私の隣に座った。
・・・・・・・・・ええええ!!!!!!!!
す、座っちゃった、安斉君が。
し、心臓がばくばくする。
「輝晴?真っ赤だぞ」
「き、気のせいじゃない?」
「そうか?」
そうそう気のせいだよ。心の中にいる自分がうなずく。
ううっ心臓が止まらない。
「そんじゃあ・・・・・・右手だしてみぃ」
いきなり何だろうっと思って右手をだす。
安斉君も気になってか覗いてきた。
そして右手首に何かを巻きつけて両端を結んだ。
なんでしょうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
じっくり見てみると織ってある。
「ミサンガ、だね」
「ミサンガ?」
それって思いながら結んで切れると叶うっていうあれですか?
どうして・・・・っていうか私がつけていいのか?
そう聞こうとしたら、
「輝晴、俺の願い叶えてくれよ」
と言って誤魔化されてしまった。
でもさっきの彼の目は真剣だった。
私に託した陸君の願いは何―――――――――――――――――――――――?