13/16
人魚姫の逃亡
一瞬、目を疑いたくなった。
珍しく私は図書館に来ていた。
実を言うと借りっぱなしの本があった。
それを返しに来たのだ。
うん、大丈夫。すぐに帰れば気づかれない。
「輝晴」
・・・・・・・・早くも気づかれたそうです。
「お、お久しぶりです陸君」
「おう、元気か?」
「うん」
なんかほっとした。いつもの、いつもの陸君で。
「輝晴は返しに来たみたいだな」
「うん。返しそびれた」
「てかまず、中に入るか」
そういって入ろうと扉を開けた。
・・・・・・・・・・何が起こってますか?
私は一旦扉を閉じた。
「陸君、これは夢でしょうか?」
「さぁ?輝晴、大丈夫か?」
「だ、大丈夫じゃなかったら閉めてませんよ」
「開けるか」
「うん」
「「いっせせのせ」」
ガラッ
やっぱりそこにはもう一回キスしている安斉君と・・・・・・公害女で。
私は本を落としたのを気づかずに逃げ出した。