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筋肉が魔力の源なら、ヒョロガリの俺は詰みですか? 〜脱臼覚悟で放つ「あたたた」が急所に刺さりすぎる件〜  作者: 原田広


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第一話 俺のステータスが「絶望」すぎる

転生して16年。

この世界の真理に気づいた時には、すでに手遅れだった。


【ヨウジの現状】

名前: ヨウジ(名前からして細そうだと親に付けられた)

体型: 驚異のヒョロガリ(通称:もやし、あるいはマッチ棒)。

魔力量: 小指の先ほども無い。

特技: 腹筋一回で立ちくらみを起こす。


この世界において、俺のようなヒョロガリは「魔力欠乏症」という名の社会的弱者だ。

さっきの「あたたた(百裂魔法)」なんて夢のまた夢。俺が唱えたところで、出てくるのは「猫のパンチ」程度の光の粒が二、三粒だろう。しかも、放った瞬間に肩の関節を脱臼する自信がある。

「ぬうんっ!!」

不意に、別の方向から重低音の呪文が響いた。

見れば、さらに巨大なマッチョが、空中に「巨大な拳の質量兵器」を出現させ、森の一部を更地に変えていた。一撃必殺魔法「ヌウン」だ。

……終わってる。この世界、絶対におかしい。


だが、俺は諦めていない。

前世で学んだ科学知識を活用しようにも、この世界の基礎技術では21世紀の科学を実現できなかった。

ならばとこの16年間、筋肉をつけようとして失敗し続けた経験から導き出した「生存戦略」がある。

「筋肉が魔力を生むなら、『筋肉を動かす効率』を極限まで高めれば、細くても戦えるはずだ。……たぶん。おそらく。そうであってくれ」

俺の手には、一本の細い杖(という名のただの枝)がある。

周囲が100キロのダンベルを振り回して魔法の練習をする中、俺は一人、重力に逆らわずに済む「省エネ魔法」の構築に全てを捧げてきた。

「ヨウジ! またそんな細い枝を持って! そんなんじゃ『ほあた(掌圧防壁)』すら張れずに、風邪のウィルスに負けるぞ!」

通りすがりの筋肉エリートに笑われる。

勝手に笑ってろ。俺はこれから、この「筋肉至上主義」のクソゲー世界に、物理法則とハッタリという名のバグを叩き込んでやるんだ。

「……あたた(小声)」

俺が指先で呟くと、マッチョたちの拳(エネルギー弾)とは似ても似つかない、針のように鋭い「魔力の指」が一本、静かに虚空を突いた。

これが、後に「最速の虚弱魔導師」と呼ばれることになる俺の、涙ぐましい生存競争の始まりだった。

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