押入れのアルバム
小綬鶏が鳴いている。
みち子が亡くなって四九日が経った。
マコトはみち子の遺品を整理していた。
押入れのダンボール箱の中から『古いアルバム』が出て来た。
アルバムを開く。
みち子が幼児を抱いた写真が写っている。
写真の中にはまだ戦後の急ごしらえのバラックがあちこちに建っている。
メモ書きで昭和23年秋と書いてある。
秋霖が紅葉の葉を濡らす日。
午後の台東区の役場。
戸籍係の受付に幼児を抱いたみち子が立って居る。
係りの職員が『戸籍謄本』の写しを持って来た。
「お待たせしました。ちょっとご確認下さい」
みち子は謄本を見る。
『養子・上野 誠から土屋 誠』
添付書類
養護施設の記録簿
※ 上野 誠(上野公園ベンチにて放置、保護す)
「・・・はい。間違い有りません」
職員を見て笑う赤ん坊。
「可愛いお子さんですね」
幼児の顔を見て嬉しそうなみち子。
「ヨシヨシ、バー。今日から私がアナタの母さんよ。よろしくね・・・」
憲司が待合室の長椅子を立つ。
名前を『土屋憲司』。
憲司の仕事は『警察官(刑事)』である。
みち子の夫でマコトの「新しい父親」になる。
役場の玄関でマコトを抱いたみち子と雨空を睨み傘を開く憲司。
憲司の持つ傘が三人を包む。
憲司がみち子を見て、
「無事に終わったな・・・」
みち子は少し俯いて憲司に、
「この子の事は一生秘密にしときましょうね」
「分かった。約束しよう」
つづく




