三夏への感想
「最近の夏は暑くなりすぎていないか?」
私は言った。
「そうだね。実際、今年は十年に一度の高温らしいよ。」
「三年目だぞ。」
「何が?」
佐藤が間抜けそうな声で言った。
「その十年に一度の高温ってやつ。去年も、一昨年も言っていた!」
「へぇ、そうなのか。勉強になるね。それはそうと、そんなに大きな声で言う必要もなかったんじゃないかな?少し驚いてしまったよ。」
少しばかり声が大きかったようだ。控えねば。
「悪かった。」
「全然大丈夫だよ。」
「そうか。感謝する。」
感謝は大事だ。そう大事なのだ。
「ねえ、裕太郎。」
裕太郎が何か聞いてくるとは。雪でも降るのだろうか?
「どうした?」
「何か失礼なこと考えてなかったかな?」
「いや別に。」
即座に否定する。エスパーかよ……
「まあ、いいや。でさ、裕太郎。今年の夏。いや、三夏はどうだった?」
なぜ三夏って言いなおしたんだろう?まぁ、そんなことはどうでもいい。答えはもちろん決まっている。
「今年の三夏か?それはまあ、最悪だったよ。」
「そうか。そう言うと思ったよ。毎年そうだもの。」
「悪かったな。」
「いいや、いいよ。来年はどうなるか分からないからね。」
そう佐藤が言い残した。