三品目:カスタードプリン
この世界の頂点は邪神であるノワール様である。
では二番目は誰か?
候補は多数存在すると思う。
「……娘と喧嘩した」
暗いオーラを放つ男がいる。
頭の両側に二本の角を生やした褐色肌の魔族だ。
「あらあら、またですのね」
この魔族の男は私の客人である。
「セシリア、この人は誰?」
「このお方はルシファーダ様と申しまして、現魔王をされておりますわ」
「そうなんだ……魔王!?」
ノワール様が驚く。
本人が邪神であることは置いておいて、魔王が目の前に現れたら驚くのも無理はない。
「あぁ、お前が邪神か。先々代の魔王と死闘をくり広げたそうだな?」
「先々代……あの人のことかな?」
今から五百年前に当時の魔王と邪神が戦ったらしい。
決着はつかず、その戦いで大陸が一つ消えたそうだ。
「いつか我とも戦って貰いたいものだ」
「君たち魔族ってどうしてそう強者と戦いたがるの?先々代って魔王もいきなり勝負を仕掛けて来たんだけど……」
「魔族の性と言う奴だな」
魔族は自身の強さに誇りを持っている者が多い。
強い奴がいれば戦いを挑むのは昔も今も変わらないようだ。
「セシリアはどうして魔王と知り合いなの?」
「最初はルシファーダ様の娘さんとお知り合いになり、そこからルシファーダ様とも知り合ったのですわ」
人間の国にお忍びで訪れていた魔王の娘が暴漢に遭遇し、そこを私が助けたのだ。
それから魔王を元とする魔族の方々と交流するようになったのである。
「……話を戻しますが、娘さんと喧嘩したのですね?」
「理由はいつものことだ」
魔王と言う立場の為、娘さんとの時間があまり取れないようだ。
何度か喧嘩をしており、その度に私の元を訪れている。
「いつものを頼む」
「解りましたわ」
私は『お取り寄せグルメ』でとある商品をお取り寄せした。
「お待たせしました。こちらカスタードプリンですわ」
カスタードプリンをルシファーダ様に渡す。
ルシファーダ様の娘さんはプリンが大好物であり、喧嘩の仲直りにこうしてプリンを持ち帰るのである。
「すまないな。後ほど礼の品を贈ろう」
カスタードプリンが四つ入った白い箱を手にし、転移魔法を使用して帰っていた。
仲直り出来れば良いが、こればかりは成功を祈るしかない。
「さて、私たちもプリンを食べましょう」
「うん!」
自分たちように用意したカスタードプリンをノワール様と共に食べた。
滑らかで濃厚な甘さが口いっぱいに広がる。
底にあるカラメルソースと共に食べるとまた格別だ。
=数日後=
ルシファーダ様は無事に娘さんと仲直りをしたそうだ。
お礼としてカスタードプリンが一年分くらい買えるほどの謝礼金を貰った。
いつものことではあるが、ふっと腹のことである。
現魔王ルシファーダはこの世界の最強各である。
褐色の肌と白髪の男性。
頭に二本の角を生やしている。
一人娘には少し甘い面があったりする。