Side:М
少しだけ泣いている女の子を眺める。
「あらあらあらら……不安が漏れちゃいましたか。思ったより早いですね……いえ、現実を明確に認識できてしまうからこそ、でしょうか。あの才能が精神面に直結しているわけではない……他より強いのは確かですが、あの子にとっては……」
周りが溶岩に沈んでいく中、それに足を取られながら立ち尽くしていたあの少女。
父も母もついに現実を見れなくなって沈んでいったのに、あの子だけは現実を認識していた。
それはそうと、絶望はしていたけれども。
そんな少女を回収してすぐに死なないようにして送ったものだから、沈んでいく父と母を見た時のショックは抜けていないはず。
だからあの子は、不安を漏らしてしまった。
「はてさてはてさて。どうなるでしょうか」
別に、悪趣味なことをするつもりはない。
あれら召喚者たちの心を折る、だとか。
むしろ、彼ら彼女らは、死が目前に迫っていた者たちで、私はそこから救い出したとも言える。
別に恩を売りたいわけでもないけれど、それは事実。
だからこそ私は、あの子たちに不死性を与えたのだから。
不幸にしたいなら私はとっくに不死性に回数制限でも付けていることだろう。
「しかし、ついにイレギュラーが発生してしまいましたね。悲しきことです」
私の不死を打ち破る、大いなる太陽の眷属。
彼らは厄介だ、あの子たちの障害になる。
かといって何もできないのが、なんとももどかしい。
ついに犠牲者だって出てしまった。
……随分と死を引き伸ばせたものだけれど。
あの子、イルシュと深く関わることになった彼らだって、あそこにいなければ随分と前に死んでいる。
「……グレイブ、疫病により一ヶ月後に死亡。ルルエ、命を削っての癒術の使用により三日後に死亡……」
ルルエ、彼女はギリギリだった。
癒術士だった彼女は所属していた協会に騙されていて、最期まで使い潰されるところだった。
文字通り、全てを最期まで。
私でも、全てに目を配れるわけじゃない。
そのせいで、彼女はまだまだ回復し切れてはいないけれど……せめて、死ぬ前に保護できて良かった。
「……さて、と。あの子たち……青夜の月に大いなる太陽の目を引き付けてもらっている間に、私も動かねばなりませんね」
……これ以上、被害者が出ませんように。
女神(仮)さんどんな人なんでしょうね。
設定も何も決まってないので私にもわかりません。
タイトルは何も思いつかなかったのでほんのちょっとカッコつけただけです、はい