遭遇! 燃える狼!
筆が乗ったから前の二話と比べて結構長くなったよ
はてさて、そうと決まればどう復讐をするべきか。
とりあえず私は今のこの世界を何も知らないから、探検をしてみることにする。
もしかしたら、私と同じあの邪神(仮)の被害者がいるかもしれないし。
「……この靴も、女神の贈り物かな。やんなっちゃう」
足を進めながら呟く。
大いなる太陽……あれのせいで、地面は煮えたぎっているのに私は確かに立っているし、熱さを感じることもない。
さっきは燃えたのに。
にしても、どこを歩いても景色が変わらない。
全部全部、燃えて溶けて無くなったのかもしれない。
「……結局、大いなる太陽ってなんなんだろう」
お父さんとお母さんからは、大いなる意志が顕現した姿、とか言われたっけ。
……もしかして大いなる太陽も女神だったりするのかな。
でもそれなら、わざわざ私を生かして滅んだ後の世界で過ごさせる意味って何?
遊び?
……まぁ、考えても結論は出なさそうだからいいや。
にしてもここ、本当に人なんかいるかな。
足音一つ聞こえない――
パチッ
……今の音、何?
何かが……燃えるような音?
いやそれよりも、この音、どんどん近付いてきてるような……
パチッ パチッ パチパチッ
火花を散らすみたいな音が立て続けに聞こえる。
方向は……左?
左……から、聞こえてる。
だけど、人が燃えているにしては苦しむような声は聞こえない。
声はしなくて、ただ燃えるような音だけが聞こえる。
足音だって無い……何、これ……?
バチッ
一際強い、弾けるような音がした。
奥から炎に包まれた獣のようなモノが現れる。
何、あれ……燃えた、狼?
「……っ」
燃えたにしては、苦しそうじゃない。
むしろ悠々とこっちに近付いてきてる。
何、何なの、あれ。
……近くにいても足音は聞こえない。
地面は溶けているのに、水音すらも聞こえない。
波打ってすらいない……どういうこと?
……ううん、現実逃避気味の観察はやめよう……あの狼、真っ直ぐこっちを見てる。
揺らめいているけど……その目は、真っ直ぐ私を捉えてる。
獲物だ、って。
そう思ってるのが伝わるくらいに。
――逃げなきゃ。
くるりと踵を返して、必死に足を動かす。
私が走ると同時に、狼も走り出した。
足音も水音もしないけど、確かな熱が凄まじいスピードで迫ってくる。
やっぱり、獲物認定……!
どこかに隠れる場所は……っ、どこも溶けちゃってるから遮るものが何も無い……!
……だったらなんで、私はあの狼をすぐに見つけられなかった?
パチッ
また、燃えるような、火花が散るような音。
フッと背後の熱が掻き消えた。
なんで?
……見逃された?
いや、そんな都合の良いことあるわけない。
とりあえず今の内に、可能な限り遠くに……え。
狼が、目の前に――
「伏せろッ!!」
「え、あ!?」
後ろから声が聞こえて、慌てて地面に伏せる。
すると、バンッと何かが爆発するような音がした。
何が起きているのかわからなくて動けないでいると、腕を引っ張られて身体を起こされる。
目を白黒させながら顔を上げると、茶色のボロボロの外套を着た男の人がいた。
手には……なんだろう、黒い筒に持ち手のようなものが付いたものが握られている。
筒の先からは煙が出ていた。
男の人は私の背中を支えると、鋭い目で真っ直ぐと私を見つめてくる。
「嬢ちゃん、走れるか? 炎狼……あれは怯みはするが、死にはしない。早く逃げねぇとすぐ復活すんぞ」
「えっ……あ、あなたは……、……いえ、わかりました。走れます」
「よし。んじゃ嬢ちゃん、しばらく真っ直ぐ走れ。そしたら灰色のデカい水晶が見えるから、そこまで行ったら今度は左に走るんだ。いいな?」
「……あなたはどうするんですか?」
「嬢ちゃんと一定の距離を保ちながらあれの足止めをするんだ。別に死にゃしねぇよ。死にようがないからな。……嬢ちゃんも、知ってるんじゃないか?」
……死なない理由……もしかして、この人も……いや、先ずは早く逃げないと。
急いで走って、灰色の水晶を探す。
走って、走って、走って……灰色の水晶……あった、あれだ!
溶けた地面に浮かぶみたいに、でも溶けることも動くこともなく水晶がそのにある。
水晶があったら……左に走る!
ここからどこまで走るかは聞いてないけど……
バンッ
「っ……」
びっくりした、またあの音。
爆発するみたいな、大きな音だ。
足を止めないまま、恐る恐る後ろを振り返ってみる。
さっきの男の人が筒みたいなあれを狼に向けていた。
……あれってもしかして、武器なのかな。
あんなの聞いたことないけど……っと、もっともっと走らなきゃ。
そろそろ息が切れてきたし、足ももつれ始めてるけど……そんなこと言ってられない。
そんなことより狼に追いつかれることの方が、また死ぬことの方が、ずっとずっと嫌だ。
大丈夫、まだ走れる。
走れ、走れ……後もう少しだけでも、走れ。
「……っ、あ」
足がもつれて、その場に倒れ込む。
煮えたぎる地面に顔が近付いたことで燃えた時のことを思い出して息が詰まったけど、熱を感じることはなかった。
慌てて立ち上がろうとしていると、また手を引っ張られて立たされる。
今度はそのまま、男の人に抱き上げられた。
「ここまで来れたら上出来だ。追いつかれる前に行くぞ。よく頑張った」
「は……っ、……あの、狼は……」
「無理して喋んな、後は任せろ。……狼の核をまた撃ち抜いたから、しばらくは動かねぇよ。全力で頑張ってくれたんだろ、後もう少しだから心配すんな。休んで大丈夫だ」
走り続けたせいか、頭がクラクラする。
不安でしょうがなくて、どうなるか心配で、眠りたくなんかなかったけれど、疲労には逆らえずに私は意識を失った。
うーん、この話って常にシリアスだったりする……?
ギャグにして雰囲気軽くしたいけど、何も考えずに書くって決めたしなー、ギャグにしようって思いながら書きたくはない……。
次話を書いてる時の指と脳内がどんな風にお話を続けるか次第だねー、面白くなるといいな。
前書きと後書きは作者が思ってることをなんとなく書いたりキャラをちょびっと紹介したりしようと思いまーす。
前書きは後書きよりもお話の邪魔になりそうだからそんなに書かない、かも?
作者の話嫌いな人とかは読まなくてもいいからね。
元から強要するようなもんじゃないけど。
ちなみに後書きも脳死で書いてる。