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内容はないようです  作者: プロットなんていらねぇ!
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頑張ろう!

 すっきりと目覚めた。

 サクちゃんの膝の上で。


「……退かしてくれてよかったのに」

「あははっ、私が膝の上に寝かせたのに? 気にしないで、慣れてるから平気だよ。調子はどう? 元気になった?」

「……うん、身体が軽い。今、退くね」


 そう言って、身体を起こしてベッドから降りる。

 時間は……今、何時だろう。

 そう思って窓を見つめていると、サクちゃんがニコニコしながら声を掛けてきた。


「イルシュちゃんが寝てから、大体三時間くらい経ってるよ」


 ……キューの上で寝てから、そんなに時間は経ってないはずなんだけど。

 怪我をしたせいか、私はそんなに寝てしまったらしい。

 三時間もサクちゃんを拘束しちゃったなんて、なんだか申し訳ないな。

 そう思いながら、一先ずサクちゃんにお礼をしようと向き直る。


「ありがとう、サクちゃん。……その、膝」

「ふふ、寝心地良かった? イルシュちゃんは友達だから、いつでも貸してあげるよ! あ、そうそう……イルシュちゃんが寝てるのを見て一旦戻っていったんだけど、グレイブさんが来てたよ。例の炎狼のことみたい」

「グレイブさんが……キューの処遇のこと、かな……」

「キュー? もしかして、炎狼の名前?」

「うん……私が付けたの」

「可愛い名前だね! ……でも、名前付けちゃったらもし別れるってなったら辛くならない……?」


 ……確かに。

 いや、でも、付けちゃったものはしょうがないし。


「今更撤回なんてできないから……どうしても駄目なら、お別れも……するよ」

「そっか。でも、悲しいよね。……グレイブさん、認めてくれるといいね!」

「うん。じゃあ、私、行ってくる」

「付いていこうか?」

「大丈夫」


 サクちゃんにそう返して、休憩室を出る。

 ……グレイブさん、どこにいるんだろう。

 そう思いながら一先ずは宛もなく歩いてみると、目の前からグレイブさんがやって来た。

 良かった、運良く早めに出会えたみたい。


「グレイブさん」

「ん、イルシュ、起きたのか。身体の調子は大丈夫か?」

「大丈夫。ありがとう。それより……サクちゃんから、グレイブさんが一回休憩室に来たって聞いたけど」

「ああ、あの炎狼のことでな。今話しても大丈夫か?」

「うん」


 ……キューの、処遇。

 別れる覚悟はしてる……少しくらいは、食い下がろうとも思うけど。

 だけど……わかってるのに、少し不安。

 キューは普通に受け入れられるのかもしれないし……そうじゃないかも、しれない。

 今不安がったって、どうしようもないのに。

 そう思って、自分の服を握り締めているとグレイブさんがぽんと頭を撫でてきた。

 いつの間にか俯いていた顔を上げると、グレイブさんが優しい目で私を見下ろしてくる。


「現状、あの炎狼はイルシュにしか懐いていない」

「……うん」

「……だが、誰かに危害を加えることはなかった。今のところはな。だが、これまでの炎狼は人を見るなりすぐに襲ってきていて、見逃されることはなかった。だから……イルシュ、あいつを手懐けてみせろ。今よりもっとだ。そうすれば、あの炎狼も、自由に行動できるようになる」


 ……今よりもっと、手懐ける。

 それは……それは、よくわからない。

 今、どのくらいキューが懐いてくれていて、どこまでお願いを聞いてくれるのかわからないから。

 キューがどうしたいのかはわからないから。

 ……でも……キューは別に、拘束されてたわけじゃない。

 自分の意思であそこに留まって、建物の中に入ってしまうこともなかった。

 でも、それはきっと……窮屈だと思うから。

 キューは私と会って喜んでくれたから……会いたいのに、中に入るのは我慢してくれたんだよね。

 ……うん。


「わかった。できるかどうか、わからないけど……やってみる」

「よし。参考になりそうな資料をアレスに纏めてもらってるから、時間がある時に行ってこい」

「うん、行ってくる。ありがとう、グレイブさん」


 そう言って、早速アレス先生のところに向かおうと走り出す。

 背後から驚いたような声が聞こえたけど……グレイブさんだから大丈夫。

 ここを右に曲がって……あった、資料室。


「アレス先生っ」

「イルシュ、来たんだね。……グレイブさんから話を聞いたのかい?」

「はい。資料、ありますか?」

「まだ纏めている最中なんだけれど、それでも構わないかい?」

「はい。大丈夫です」


 頷くと、アレス先生が奥に行って分厚い紙の束を持ってきた。

 あ、あれ全部、資料なの……?

 私の手のひらよりも分厚い……と、思ったら先生がまた別の紙の束を持ってきた。

 今度は、私の小指の厚さくらい。


「こっちが、私が要点を纏めたものだよ。それで、こっちが私が参考にしたものだ。既にこっちに要点を書き終えたものだけだけれどね。どちらも貸し出すよ」

「え……いいん、ですか? こんなに分厚いの……そ、それに、要点を纏めるなんて、そんな大変そうなことまで……」

「構わないとも、こういう仕事は慣れているからね。さて、この資料だけれど……イルシュが運ぶには重いだろうからね。資料室に部屋を作ってもらったから、こっちはそこに持っていこうか」

「え、えええ……!? 部屋を……!?」


 私のため……いや、キューのため?

 とにかく、そんなことしてもらっちゃって申し訳ないな。


「……でも、そこまでしてもらったからには……頑張ろう」


 そう気合を入れて、私は資料を運ぶアレス先生を追いかけた。

遅くなりました。

やっぱりメインで書いてる方を優先したいから、こっちはどうしても遅れる……とはいえ書いてて楽しいので、ゆっくりでも更新はしますよ!


青夜の月というこの組織の拠点について、ちょこちょこ設定考えてたので置いときます。


壁や床は結界のようなものでできている。

最初期にこの世界に来た人の能力で、他の人の力で結界を固定して絶対に壊れないようにしている。

家具も結界だが、なんでも加工できるとかの能力を持った人などが作った家具もちらほらある。

今回イルシュが受け取った資料はアレスが作り出したもので、アレスは情報を自分が書くことなく紙に書き出せるなどの力を持っている。

紙も出せる。

食料は主に植物系の力を持っている人達によって賄っており、食事は偏ってしまっている。

肉にできるような動物を喚び出せる召喚士などがいないため。


軽くですが、補完的な感じでどうでしょう。

全部燃えて溶けてしまった世界ですから、建築に使えるような資材はもちろん食料だってありませんからね。

炎狼とかは炎でできてるから食べられないし……。

ここに来た人たちがそれぞれの能力を組み合わせながらどうにかしていくしかないわけです。

ちなみに不死になっているみなさんですが、食事はいります。

生きるのに栄養は不可欠です。

なので、肉が不足しているこの状況で、栄養失調で死んだりとかって人はいます。

生き返るんですけどね。

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