Zzz
炎狼さん……じゃなくて、キューと別れて室内に戻ってきた。
理性もちゃんもありそうだし、私はここにいさせても大丈夫だと思うんだけど……纏め役であるグレイブさん次第かな。
……私は大丈夫だと思うって、しっかり伝えておこう。
「……ふぅ」
なんだか疲れちゃったな。
まぁ、ルルエさんに治癒してもらっただけで大怪我をしたことに違いはないし、それはそうだよね。
……ここに来てから、遠出なんてしたことなかったし……キューに連れて行ってもらったとはいえ、落ち着きはしなかった。
そもそも炎狼の体の上だったし。
……うん、少し休もう。
そう思って足を進めていると、前から知っている人が歩いてきた。
……あれは……
「あ! イルシュちゃん!」
「サクちゃん……ぐえぇっ」
目の前から歩いてきたサクちゃんが私の姿を見るなり走ってきて、勢いよく抱き着いてきた。
受け止めきれずに一緒に地面に倒れて、少し痛かったからじとりとサクちゃんを見る。
サクちゃんは、私の友達。
私よりも少し年上で、凄く元気で、運動をしようと私を誘ってくれる。
それから、色んな遊びを知っていて、いつもいつも知らない遊びを教えてくれる。
チキュウという世界の、ニホンという平和な国から来たらしい。
だから、サクちゃんも戦えないし、まだまだ新入りで勉強中なんだって。
……でも、弓術は結構様になってたと思う。
狙いはいいから、兎くらいなら狩れるんじゃないかな。
ここにはもう兎なんていないけど。
「あははっ! ごめんごめん、イルシュちゃん! ちょっと勢い強すぎちゃった!」
「……サクちゃん。私、大怪我をしたばかりだから……」
「ええっ!? そうなの!? 帰ってきたことしか知らなかったよ! あっそうだ、おかえりイルシュちゃん! 心配したんだよ!」
「う、うん……ただいま」
ちょっと、勢いが凄くて気圧されることもあるけど……サクちゃんは凄く優しい。
今も、怪我はどこかと目を凝らして探している。
……触られてるわけじゃないけど、あまりにも真剣に見られているから少しくすぐったい。
「も、もう、ルルエさんに治してもらったよ。でも、疲れてるから……」
「そっかぁ……良かった。疲れてるなら、一緒に休憩室行こ。おんぶしてあげる!」
「えっ、そ、それはだいじょう……わあ!?」
サクちゃんが許可なんてしてないのに私を持ち上げて、休憩室の方に運び始めた。
休憩室……仮眠室とも呼ばれているその部屋は、怪我人と重労働を終えた人なんかが使う場所。
怪我人は主にルルエさん、それから他にも治療ができる人にすぐに治癒してもらえるけど、医務室のベッドは多くないから、治癒後は休憩室で休んだりする。
怪我は癒せても、血が全部戻ってくるわけじゃないし、体力だって戻らないから。
怪我が癒えても動けない場合はそこそこ多い。
だけど、ベッドが少ないから、医務室で寝かしちゃうと他の怪我人を休ませられなくなったりする。
だから、怪我人は休憩室に移動させられて、そこで眠ったり休んだりする。
余裕があればそのまま寝かせてもらえることもあるけど。
……この場所の特性上、個室とかはどうしても無いから。
基本的には休憩室で休む。
と、そんなことを思い返しているうちに休憩室に到着していたみたいで、サクちゃんがベッドの上に降ろしてくれた。
ベッドはふかふか。
「んん……」
「イルシュちゃん、眠たい? 私のことは気にせず寝てね」
「……んん〜」
「あ、そうだ。膝枕してあげる!」
「んー」
すごく眠いから、ありがたい申し出……じゃない、サクちゃんの膝が痛くなっちゃう。
そう思って、ゆっくりと身体を起こして首を横に振る。
無理矢理膝の上に頭を乗せられた。
あったかい、ねむい、ずるい……
「おやすみ、イルシュちゃん」
……すやぁ。
頼野 朔
黒髪黒目、日本人の少女。
元高校生。
面倒見の良い元気な少女で、年の離れた妹と弟が一人ずついた。
運動神経が良い。
両親は仕事が忙しく、日本にいた頃は妹と弟の世話は朔の担当だった。
両親は忙しいものの仲が良く、弟と妹のことも愛していたが、異世界転移により会えなくなってしまった。
そのため、物静かなイルシュのことを同じく物静かだった妹と重ねている。
よしお友達ポジ出せた。
しかし朔ちゃんもお姉さんポジっぽくなりそうな気がしないでもない。
あと、ルルエさんとか、それこそイルシュちゃんが過ごしてた時の世界とか、世界についての紹介もちょくちょく書いていこうかな。
なんか、もっと好き勝手書いていくつもりが思ったよりは纏まってるし、いい感じに完結したらプロット作って正式版として更新するのも良いかもしれないね。
むしろ真面目に書いてる作品の方がゴチャッとしてる感もある。
まぁ、もしそうなったら匿名?でいいのかな、匿名じゃなくして普通に真面目に書いてる方の名前にしてリメイク版に飛べるようにしようかな。
確か後書きとかにリンク貼れないんですよね。
ちょっと面倒だけども、マイページに飛べれば作品一覧からいけるだろうし。
まぁそんなわけで、まだまだ未来の話だけどそんなことを思いつきました。
やるかは知らん。